城南進学研究社は、同社が経済産業省による2023年度「未来の教室」実証事業(生成AIを用いた教育サービスの検証)に採択されたことを、12月5日に発表した。同事業では、城南進学研究社が運営する個別指導塾「城南コベッツ」を実証場所として、「学習指導の視覚化と保護者共有(AIによる指導記録の自動生成)」に取り組む。
同社による今回の実証事業では、「生成AIを活用した教育現場のあるべき姿」として「生成AIの活用による学習指導の視覚化と保護者共有」を目指す。
学習塾業界では、指導記録の作成が講師の時間外労働に結びつき、過去には問題化したこともあった。そのため、業務時間内に指導記録を作成するケースが多くなっているものの、
- 指導記録の質の低下:業務時間内の作成では時間が限られ、質の高い記録作成が難しい
- 指導自体の質の低下:指導記録を指導中に作成するため、指導に注力できない
- 指導記録の共有:質の高い指導記録が作成できないため、保護者への共有が難しい
といった課題を抱えていた。
同事業ではこれらの課題の解決に向け、在籍者30名~50名規模の首都圏にある個別指導塾「城南コベッツ」1教場にて以下を実施する。指導の質の向上や指導記録の効率的な作成、学習者・保護者の満足度向上が醸成されたかどうかについて検証するとともに、公教育での活用についても可能性を探っていく。
- 音声データの記録と収集
- AIによる指導記録の自動生成
- 指導記録の共有
「音声データの記録と収集」では、講師が業務時間内に指導内容のサマリーをフローに沿ってiPadで音声録音し、社内ネットワークにて共有する。
「AIによる指導記録の自動生成」では、社内ネットワークで共有された指導記録の音声データをWhisperで文字起こしした後、ChatGPTで文章の校正要約を行うことで、質の高い指導記録を自動生成させる。
「指導記録の共有」では、指導記録をLMS(学習管理システム)で保護者にタイムリーに公開する。
実証期間は12月上旬~2024年1月下旬、対象は小学生・中学生・高校生。
同実証によって得た指導記録自動生成ノウハウは、将来的に公教育への提供を予定する。小中学校・高校でも「質の高い指導記録の教員間での共有」「通知書記入の際に、過去の指導記録の振り返りとして利用」するといった活用を想定している。
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア