お金の仕組みを学ぶ手段も現代的に変えていく
デザイナーでもあるフィリッポ・ヤコブ氏は、2017年にフォーブス誌で「30歳以下の起業家30人」に選出された、世界が注目する起業家だ。木製のプログラミング知育教材「キュベット」の開発者でもある。
もともとはヤコブ氏が自身の子どもにプログラミングを学ばせるために開発した「キュベット」。今では世界で200万人以上の子どもたちが触れる教材に成長した。その中で、子どもたちが本来持つ力を発揮するためにはプログラミングと同等か、それ以上に大切なものがあるのではないかと気づいたという。それが「金融リテラシー」だ。
「実家を出て独立する際、お金の仕組みを知らない大人があまりにも多すぎると思ったのです」
これまで、大人が子どもにお金のため方・使い方を伝える際には「貯金箱に小銭を入れて、必要な時には壊して取り出す」以上のことを教えることは少なかった。しかし、それだけでは足りないというのがヤコブ氏の意見だ。
「さまざまなやり取りがデジタル化されて、世界とつながっている現代。お金だって例外ではありません。貯金箱にためたお金を使う経験もデジタル化する必要があると思いました」
家族間の小口決済が気軽にできる「ピグズビー」
そこでヤコブ氏が開発したのが、仮想通貨でお金を学ぶスマートウォレット「Pigzbe(ピグズビー)」だ。
ピグズビーの対象年齢は6歳から12歳。仮想通貨である「Wollo(ウォロ)」を家族間でやり取りして、お金の仕組みを学ぶことができる。つまり、子どもがお手伝いをしたご褒美に保護者が小銭を手渡すのではなく、ウォロを送金することに置き換えるということだ。
ピグズビーは以下の要素で構成される。
スマートフォンアプリ
子ども用のゲームアプリと、大人用のウォレットアプリが存在する。
子ども用ゲームアプリ
お金の木を育てるゲームで遊びながら、お金をためることを学べるスマートフォンアプリだ。ウォロをお小遣いとして家族から送金してもらうと、雲が発生する。その雲をタップすると雨が降って木が成長する仕組みになっている。
木の成長度によって、現在どれくらいウォロがたまったかを確認することができる。また、食べ物などの身近なものに換算して金額の価値を知ることもできる。
大人用ウォレットアプリ
子どもにウォロを送金する際に使用する。送金に際して、セキュリティは十分に担保されており、家族間の小口決済を気軽に行うことができる。
子ども用・大人用ピグズビー
子ども用ピグズビーピンク(デジタルウォレット)
こちらは2つの役割を果たす。1つはアプリ内のゲームにおけるコントローラー、2つ目は通知・表示機能だ。前面にはLEDが搭載されているので、入金通知を確認したり、残高を確認したりすることができる。かわいらしいブタのデザインはヤコブ氏が子どもの目線で考えたものだという。
大人用ピグズビーブラック(コールドストレージデバイス)
コールドストレージ(仮想通貨を保管する環境で、通常はネットワークに接続されていないためセキュリティが担保されている)の役割を果たす。持ち歩ける貯金箱のイメージだ。
専用のウォロカード
ウォレットにためたウォロを使用する際にはこのカードにチャージして使用する。日本円で使用する場合はウォロを為替で換算することもアプリが自動的に行う。