ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、東京大学・社会科学研究所と2014年に立ち上げた「子どもの生活と学び」の実態を明らかにする共同研究プロジェクトから、「子どものICT利用に関する調査2023」の結果速報を11月8日に発表した。
同プロジェクトでは、小学1年生〜高校3年生の同一の親子モニターを対象に、2015年以降9年間にわたって複数の調査を行い、12学年の親子の意識・行動の変化を明らかにしている。
「子どものICT利用に関する調査2023」では、同プロジェクトのモニターである小学4年生〜高校3年生9182名に対して、2月〜3月に行われた。
調査対象者に、学校でICT機器を使う頻度を尋ねたところ、「週5日(ほぼ毎日)」が約3割でもっとも多く、「週3~4日」が約2割でそれに続いている。学年別でみると、小学4年生〜6年生は利用頻度が高く、高校生の利用頻度は低かった。
ICT機器の利用に対する意識を尋ねた質問では、「ICT機器を使う授業は楽しい」に対して「とてもそう」と「まあそう」の回答を合わせた割合が約8割、「ICT機器を使う授業を増やしてほしい」では約6割を占めている。「とてもそう」または「まあそう」と答えた割合は、成績による差はないものの、利用頻度の影響がみられる。
ICT機器の利用方法としては、「調べ学習」(87.1%)が最多となり、「考えをまとめて発表」「友だちと考えを共有」といった協働学習も6割超に達した。小学4年生〜6年生では「練習問題を解く」、高校生では「暗記する」が多いなど、学齢による違いもみられる。
ICT機器の利用による効果の実感について尋ねたところ、「学習内容について調べやすい」「学習内容がわかりやすい」「効率的に学習できる」「グループでの学習がしやすい」に対する実感は7割超に達した。また、ICT機器の利用頻度が高い子どもほど、その利用による効果を実感している。
ICT機器の利用にあたって、課題に感じていることを尋ねた質問では、「目が疲れる」「インターネットにつながらなくて困ることがある」「ICT機器を壊してしまわないか不安」について、課題と認識しているという回答が半数超となった。また、ICT機器の利用頻度が低い子どもほど、「使い方がわからないことがある」「文字の入力が面倒」と感じている。
教員による指導の影響についてみると、「ICT機器の使い方」「情報の集め方・調べ方」「ルールやマナー」といった指導を受けた子どもほど、ICT機器の利用による効果を強く実感する傾向がみられた。
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