山田進太郎D&I財団は、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの協力の下、大学1~2年生の女子520名(文系:278名、理系:242名)を対象に実施した、「女子学生の理系進学における障壁と要因に関するアンケート調査」の結果を9月12日に発表した。同調査は、6月に行われている。
同調査では、文理選択の意思決定状況をもとに、理系進学者を「理系志望者」と「理系グレーゾーン」、文系進学者を「文系志望者」と「文系グレーゾーン」にそれぞれ分類して分析している。
- 理系志望:理系を中3時点で志望しており、理系学部に進学した人
- 理系グレーゾーン:文系を中3時点で志望していたが最終的に理転した人、または中3時点で迷っており、最終的に理系学部に進学した人
- 文系志望:文系を中3時点で志望しており、文系学部に進学した人
- 文系グレーゾーン:理系を中3時点で志望していたが最終的に文転した人、または中3時点で迷っており、最終的に文系学部に進学した人
同調査では、「理系進学・就職にメリットを感じる学生の割合」「得意な理系科目がある学生の割合」を、理系志望、理系グレーゾーン、文系グレーゾーン、文系志望の4つのセグメントに分けて分析した。理系進学・就職にメリットを感じる学生の割合は、理系志望(93%)、理系グレーゾーン(75%)、文系グレーゾーン(31%)、文系志望(19%)の順に低下する傾向がみられた。得意な理系科目がある学生の割合は、理系志望(91%)、理系グレーゾーン(79%)、文系グレーゾーン(60%)、文系志望(49%)の順に低下する傾向にある。
あわせて、「学校の女子理系進学割合」「両親の学歴」といった選択肢を比較して、これらの要因と「理系進学・就職にメリットを感じること」との関連性を検証したところ、これらの要因は「理系進学・就職にメリットを感じること」と一部相関性がみられたものの、女子学生の文理選択に与える影響は限定的だった。
そこで、理系進学者、文系進学者、それぞれに対して「身近な親族の職業」「中高時代の理系体験の有無」という2つの理系進学に影響を及ぼす可能性がある要因と、「理系進学・就職にメリットを感じる」を掛け合わせて分析している。
文系進学者において「理系進学・就職にメリットを感じる」人の割合は、「母親が理系職業従事者」である場合は、そうでない場合(身近な親族に理系職業従事者がいなかった場合)と比較すると3分の2ほどに減少。これにより、進学ないしは文理選択する前に女性が理系職業で働く難しさを身近で感じることが、「理系進学・就職にメリットを感じる」かどうかにネガティブな影響を及ぼすといった仮説が成り立ち、周囲に保護者を含む理系職業の女性ロールモデルが存在するだけでは十分ではないと考えられる。
一方で、理系進学者では「父親が理系職業従事者」である場合とそうでない場合(身近な親族に理系従事者がいなかった場合)を比較すると7%、「母親が理系職業従事者」である場合とそうでない場合は6%、「理系進学・就職にメリットを感じる」人の割合が増加した。
また文系進学者では、中高時代の「理系体験」があることによって「理系進学・就職にメリットを感じる」学生がそうでない学生と比較して1.3倍増加している。
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