SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

教育現場でのICT活用事例紹介(中学校)

【中学校・総合的な学習の時間】地域の魅力を発信する会社を中学生が経営!「模擬会社Nalys」の実践

 ICTを活用した社会科の授業に日々取り組まれている、楢葉町立楢葉中学校の根本太一郎先生。前回は勤務校で取り組んでいる「防災授業」の実践をお伝えしました。今回は、生徒自身が企業の経営を総合的な学習の授業の中で行う「模擬会社Nalys」の取り組みをご紹介いただきます。(編集部)

はじめに

 福島県の楢葉町立楢葉中学校で社会科教員をしている根本太一郎です。日々「社会科の授業を通した『感動』をもたらすこと」を目標に、授業作りに励んでいます。前回の記事では「防災授業」について紹介しました。今回は、総合的な学習の時間で全校一丸となって行っている「模擬会社Nalys(ナリーズ)」について、昨年度行った実践をご紹介します。なお、楢葉中学校については前回の記事をご覧ください。

総合的な学習の時間では何をするの?

 総合的な学習の時間というと、どのような活動をイメージしますか? 職場体験や福祉についての活動、または地域の企業や自治体と提携した取り組みなどを想像するかと思います。本校ではなんと、企業の経営を授業の中で行います。それが、模擬会社Nalysです。全校生が5つの部門に分かれ、楢葉町の特産物を用いた商品開発や広報活動、地域の探究活動を行います。部門はそれぞれ「第1・2・3製造部」「広報部」「地域連携部」という名前です。

 実際に開発した商品は、本校の文化祭である「ゆずり葉祭」や楢葉町で行われるイベント「ならSUNフェス」、さらに活動の集大成として、東京の日本橋にある福島県の物産館「日本橋ふくしま館 MIDETTE」で販売体験活動を実施します。昨年度は全校生で実施しましたが、今年度は3学年のみで実施する予定です。みなさん、2023年10月27日はぜひ日本橋にお越しください。お待ちしています!

Nalys組織図
Nalys組織図
「Nalys」の意味
「Nalys」の意味

 第1・2・3製造部では、町にゆかりのある企業や事業所と協力して商品開発を行います。昨年度の商品は、次の4種類でした。第1製造部では「ならは~とケーキ」というパウンドケーキ、第2製造部では「しっパイサクッ」「花柚子ちよ子」というお菓子、第3製造部では「ゆーtiful」というハンドソープをそれぞれ開発しました。

ならは~とケーキ
ならは~とケーキ
しっパイサクッ
しっパイサクッ
花柚子ちよ子
花柚子ちよ子
ゆーtiful
ゆーtiful

 楢葉町では近年、さつまいもの生産が活発に行われています。昨年度、町内に日本一の官署貯蔵施設が建設されました。また、昔から各家庭では柚子がさかんに栽培されてきました。こうした背景があることから、柚子やさつまいもを用いたお菓子やハンドソープの企画・開発をします。さらに企業の方との打ち合わせを通して、試食やPOP作り、陳列の方法などを中学生が考えます。まさに、実生活に即した「生きた学び」と言えます。

 広報部は全国へNalysの活動を発信することを目標に、Twitter(現:X)やInstagramといったSNSでの情報発信や、本校のWebサイトの更新などを行います。以下のポスターも生徒がレイアウトや配色を考え、町の広報誌に折り込んで各家庭や事業所に配布しました。

Nalys紹介ポスターと広報誌に折り込んだチラシ Nalys紹介ポスターと広報誌に折り込んだチラシ
Nalys紹介ポスターと広報誌に折り込んだチラシ

 昨年度、私が担当した地域連携部は、地域を知り、探究することをねらいに、楢葉町の魅力を発信することを目的とした「地図作り」を行いました。学習指導要領と関連付けたり、生徒の実態を考慮したりして次のように活動の目標を設定しました。

地域連携部の目標

  • 学習の見通しを持たせ、粘り強く課題に取り組む態度を育む。
  • 地域についてより深く知り、その魅力や特色について生徒自ら体験する活動の機会を確保する。
  • 問題解決的な学習や、自分の考えを発信したり共有したりする活動を効果的に実施するためにICTを積極的に活用する。

 活動の流れは以下の通りです。

順番 活動内容 活動の詳細
1 Nalysオリエンテーション 地域連携部の方向性の決定・確認
2 フィールドワークの実施(1) Jヴィレッジの情報収集
3 紹介する場所の整理・検討 生徒間のディスカッション・プレゼンテーション
4 紹介の仕方の検討 生徒間のディスカッション・プレゼンテーション
5 計画表の作成 各係の活動の方向性の確認
6 フィールドワークの実施(2) ここなら笑店街・木戸川渓谷・天神岬の情報収集
7 地図・動画の作成 各係での活動
8 ゆずり葉祭 発表・販売体験活動
9 日本橋福島館 MIDETTE 販売体験活動
10 ふるさと創造学 発表

次のページ
地域連携部の実際の活動(1)

この記事は参考になりましたか?

教育現場でのICT活用事例紹介(中学校)連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

根本 太一郎(ネモト タイチロウ)

 土浦日本大学中等教育学校 共有担当教科は社会科、歴史総合、世界史探究。初等中等金融経済教育ワークショップ事務局長。Social studies for Fukushima共同代表。FESコンテスト教員アンバサダー。社会科の授業を通した「感動」を生徒にもたせるため、地域に根ざした教材開発や効果的なI...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


この記事をシェア

EdTechZine(エドテックジン)
https://edtechzine.jp/article/detail/9984 2023/09/19 07:00

おすすめ

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング

イベント

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング