ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所と、東京大学社会科学研究所は、同一の親子(小学1年生から高校3年生)を対象に2015年以降8年間にわたって実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」の2022年版を、4月11日に発表している。
調査結果によれば、「上手な勉強のしかたがわからない」に対する「とてもあてはまる」と「まああてはまる」の合計(肯定率)は、小学4年生~高校3年生の全体で2019年には57.2%、2020年には59.6%、2021年には61.5%、2022年には67.5%と、4年間で10.3ポイント上昇した。学校段階別でみると、学校段階が上がるほど肯定率が高くなる傾向にあり、2022年は小学4年生~6年生が61.1%、中学生が68.1%、高校生が73.2%となっている。2019年~2022の増加率では、学校段階が低いほど増加が大きい傾向がみられ、小学4年生~6年生で18.5ポイント、中学生で8.1ポイント、高校生で4.5ポイントの増加となった。
「学習方法」は「学習意欲」とやや強めの相関があり、学習方法の理解が進むと学習意欲も高まる傾向がみられる。今回の分析において、「成績」にもっとも強い関連があったのは「学習方法」であり、「学習意欲」がそれに続いた。一方で、「学習時間」はかなり弱い相関しかみられない。「学習時間」と「成績」の関連は小学4年生~6年生でもっとも強く、高校生でもっとも弱かった。
「上手な勉強のしかたがわからない」の回答について、同じ子どもの変化を2カ年にわたって追跡すると、「不明のまま」群がもっとも多く(47.4%)、「理解キープ」群(20.6%)がそれに続いている。一方で、「理解に変化」群は12.5%、「不明に変化」群は19.5%と、上の学年になるほど「上手な勉強のしかたがわからない」の肯定率が増えるため、「不明に変化群」のほうが多く出現するものの、「理解に変化」群も1割強存在する。
学習方法の理解の2カ年の変化を4群に分けて、意欲の2カ年の変化との関連をみると、両者は連動している。学習方法の「理解キープ」群には、学習意欲の「意欲キープ」が多く出現し、学習方法を理解し続けている子どもは、高い意欲をキープしていることがわかった。反対に、学習方法が「不明のまま」群には学習意欲が「低意欲のまま」群の子どもが多く出現している。前年に学習方法を理解していなかったにもかかわらず、翌年に理解に転じた「理解に変化」群には、「意欲上昇」群が多く出現しており、逆に学習方法を理解している状態からわからないに転じた「不明に変化」群には、「意欲低下」群が多い傾向がみられた。
学習方法の理解における2カ年の変化を4群に分けて、成績(偏差値に換算)の2カ年の増減をみると、両者は連動していることが明らかになっている。学習方法の「理解に変化」群は、前年よりも成績が1.8ポイント上昇したものの、「理解キープ」群では0.4ポイント、「不明のまま」群では0.2ポイントの増加に留まり、「不明に変化」群では1.2ポイント減少した。
学習方法の理解は成績だけでなく、論理的に考える力や粘り強さのような、多様な資質・能力とも関連しており、「論理的に(筋道を立てて)考えること」が得意か苦手かをたずねた結果では、成績上位層ほど「得意」が多い傾向にある。しかしながら、いずれの成績層でも「学習方法・理解」群のほうが「得意」が多かった。「一度決めたことは最後までやりとげる」かどうかを尋ねたところ、成績上位層ほど「あてはまる」が多い傾向にあるものの、いずれの成績層でも「学習方法・理解」群のほうが「あてはまる」の回答が多く出現している。
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