東日本大震災の被災地支援からスタートした活動
──まずはポケモン・ウィズ・ユー財団設立のきっかけと、現在の活動内容を教えてください。
当財団の名称でもある「POKEMON with YOU」は、東日本大震災の直後に株式会社ポケモンの有志社員が始めた活動です。当初は車に支援グッズを詰め込み、ピカチュウと一緒に東北を訪ねることからスタートしました。ポケモンがそばにいることで、少しでも子どもたちの笑顔が引き出すことができたらという思いで避難所や児童館を回り、子どもたちの心のケアのお手伝いをしていました。
その後、ポケモン映画の無料上映会やポケモンのグッズを作るワークショップを実施したほか、JR東日本さまと協力して「POKEMON with YOU トレイン」を運行し、復興が進んできたタイミングで東北地方に足を運んでいただくきっかけを作る活動もしてきました。震災の被害の甚大さから10年単位の支援が必要と考え、会社としてもバックアップすべく、仙台にポケモンのグッズを販売するショップ「ポケモンセンタートウホク」をオープンし、その収益などを原資に継続的に活動を行ってきた形です。
その後、全国で困難に直面している子どもたちに寄り添い、東日本大震災の被災地支援にとどまらない社会貢献活動を持続的に拡大するため、2021年に財団を設立しました。
現在はNPO法人カタリバさまと連携し、日本各地で地震・水害・土砂災害などが発生した際に、ぬいぐるみや日用品を届ける活動を実施しています。また、東日本大震災の後に生まれた子どもたちはどうしても災害に対する備えや防災の知識が希薄になっていることを踏まえ、未就学児向けの教材「ポケモンぼうさいきょうしつ」を制作しました。こちらは子どもたちが地震・火災・大雨や台風への対策について楽しく学べる教材で、2023年6月末までに1万4000を超える施設へ提供しました。
また、報道等の影響によるネガティブなイメージから、行きにくい場所になってしまっている「子ども食堂」を、楽しい・気軽に行ける場所に変えるべく支援しています。そのほか、創造的なアートやデザインの力で時代を切り拓く学生や、アジアから日本に留学している学生を支援する「ポケモンスカラシップ」の制度や、環境について考えるきっかけ作りを提供するゴミ拾いのイベントの企画、そして今回お話しするICT教育の支援といった取り組みを行っています。