[※]2022年度は「デジタルクリエイティブ&eスポーツ部」として実施された。
効果的な地域部活動運営を目指して設立された「渋谷ユナイテッド」
──渋谷区の部活動改革は2021年から始まったと聞いています。プロジェクトのため、教育委員会とは別の組織として「渋谷ユナイテッド」を立ち上げたとのことですが、どのような経緯で設立に至ったのでしょうか。星氏(以下敬称略):中学校の部活動は、少子化の影響によって1校では集団競技のチームが組めないといった人数の問題や、教員の長時間労働や専門外の部活動を担当することによる負担など、さまざまな課題を抱えています。
そうした中、渋谷区ではいち早く解決に向けて取り組みを開始し、教育委員会内ではなく別団体を立ち上げて進めていくほうが効果的かつ効率的であると考え、2021年10月に部活動改革プロジェクトとして渋谷ユナイテッドを立ち上げました。翌月から試行的に地域部活動をスタートし、2022年度の5月から正式に稼働しています。
──デジタルクリエイティブ部のほか、料理・スイーツマスター部といったユニークな活動が印象的です。活動内容はどのように決められたのでしょうか。星:区立中学校の生徒に「学校の部活動にはないけれどやってみたい」というスポーツや文化活動についてアンケートを実施しました。その中でも特に要望の高かった活動について、区内の団体や企業に協力いただけるものから進めています。
デジタルクリエイティブ部に限らず、ほかの地域部活動についても、それぞれの専門家に指導していただくことで質の高いものを提供し、それに見合った対価を会費として頂戴しています。
田那辺氏(以下敬称略):元々MIXIは、渋谷区立中学校の全校に向けて技術・家庭科の技術分野でプログラミングの授業を行っていたご縁があり、その流れで地域部活動への協力依頼を頂きました。
中村氏(以下敬称略):渋谷区にはIT企業が多数あり、中でもMIXI、サイバーエージェント、DeNA、GMOインターネットグループの4社には教育委員会と連携し、「Kids VALLEY 未来の学びプロジェクト」として区立小中学校のプログラミング教育を支援していただいています。MIXIさんは中学校の技術分野を担当されていたことから、専門性も高く、中学校の部活動と親和性が高いと考えました。
──渋谷ユナイテッドの地域部活動参加にあたり、生徒負担の費用はどの程度かかるのでしょうか。星:部活動によって異なりますが、2022年度の「デジタルクリエイティブ&eスポーツ部」の会費は前期・後期がそれぞれ9000円、1年間では1万8000円です。基本的には学校の部活動で部費として集めている金額を大きく超えないよう、1回につき500円程度としています。