フレキシブルな業務環境づくりを目指し、誰もが使えるコミュニケーションツールを採用
多くの個人情報を強固なセキュリティのもとで管理する教育機関。大東文化学園においても、あらゆる教職員が閉じたイントラネットの中で校務にあたってきた。しかしながら、教育現場のオープン化や業務の多様化などにより、フレキシブルな業務対応が求められるようになったことから、さまざまなITツールの導入を検討することとなった。その中から、セキュリティを担保しながらも、いつでもどこからでもコミュニケーションがとれるツールとして「LINE WORKS」を導入した。
総務部総務課でコンプライアンスや経営的課題を担当し、校務等の環境整備にも取り組んでいる小笹氏は、「閉じたイントラネットだけではアクティブに活動することが難しいという状況下で、仮想デスクトップ環境やクラウドなどの検討・導入が進み、コミュニケーションツールについても自然と検討対象になっていきました。その中でLINE WORKSは、圧倒的なシェアを占める『LINE』のビジネス版ということもあって使用感が似ており、若年層はもちろん、誰もが操作方法に慣れていたため、特別な研修が不要だったことが決め手になりました」と導入経緯について語る。
導入後は想定通り、特別な研修などを行うことなく誰もがスムーズに使用するようになった。当初は若干慣れない職員もいたものの、小笹氏らがこまめな発信を行い、利用頻度が上がるよう工夫を凝らしたことで、自然とコミュニケーションツールとして馴染んでいったという。具体的には、大学の学年暦をカレンダーに入れたり、業務でのグループにおいて活用を推奨したりするなど、「LINE WORKSに目を通す習慣」をつけてもらうためのアクションを積極的に起こしていった。
「大東文化大学は、東京都板橋区と埼玉県東松山市に2つのキャンパスが所在し、特に東松山キャンパスは敷地が広いこともあり、コロナ禍以前からコミュニケーションにおいて距離的な制約がありました。校舎には内線なども備えていましたが、例えば教室で何かトラブルが発生しても、すぐに教務事務室と連絡がとりにくいなどの問題が発生していたのです。しかしLINE WORKSの導入により、それらの問題が解消され、あらゆるコミュニケーションにおいてスピーディなやり取りができるようになりました」(小笹氏)
小笹氏によると、改めて導入効果を感じたのはコロナ禍による出勤制限時の連絡・情報共有のシーンだった。緊急事態宣言が発令され、制度を整えるまでもなく急な在宅勤務を余儀なくされた際には、業務の報連相だけでなく、勤怠管理をLINE WORKSで実施するなど、校務を継続することができた。また、在宅中の学生のサポートについても、コールセンターの応対だけで解決できないことは教職員が直接LINE WORKSで対応することができた。
現在は感染拡大防止対策を講じた上で、教職員・学生がキャンパスに戻り、以前と同様の対面授業・業務が行われつつあるが、LINE WORKSの活用が進んだことにより、コミュニケーションを含めた働き方には大きな変化が現れたという。
「コロナ禍を機に、勤怠管理や出勤者・在宅者の情報共有にLINE WORKSの活用を推奨しています。また、2023年には大学が100周年を迎えるにあたって、さまざまな周年事業が予定されており、プロジェクトチームのコミュニケーションにもLINE WORKSを活用しています。
このように、LINE WORKSが業務におけるコミュニケーションのプラットフォームとして浸透してきたことで、フレキシブルに『いつでもどこでも働ける環境』が整い、教職員の意識や働き方も大きく変わってきたように感じます」(小笹氏)
コミュニケーションだけにとどまらず「働き方」も変えていく──常時業務だけでなく、部門を越えたプロジェクトチームでも活用!
では、LINE WORKSを活用したコミュニケーションは、実際どのように行われているのだろうか。2023年の大学100周年に向けて、2021年4月に設立された100周年記念事業推進室の設楽幸子氏は次のように語る。
「現在、20前後のプロジェクトが立ち上がっており、これからさらにプロジェクトは増える予定です。多数の教職員が関わっており、LINE WORKSはいずれのチームにとっても重要なコミュニケーションツールになっています」(設楽氏)
100周年記念事業が開始される以前から導入されていたLINE WORKSは、プロジェクトの立ち上げにあたり、チーム内コミュニケーションツールとして使用されていた。40kmほど離れた2つのキャンパス、および在宅勤務メンバーなど、場所が離れていても時間や場所にとらわれることなく情報共有を行っている。また、過去のやり取りの履歴などが閲覧可能なため、途中からプロジェクトに参加したメンバーも、それまでの経緯を知ることができ、情報のキャッチアップが容易になった。データなどを保管するフォルダ機能や、トークが流れてしまわないように書き留めることのできるノート機能なども積極的に活用され、データや資料などを格納・蓄積している。
「以前は、会議室を押さえてキャンパス間を遠隔システムで結んだり、片方のキャンパスのメンバーが移動に1時間半をかけて合流したり、スケジュール調整を含め、打ち合わせにかなりの労力がかかっていたんです。
LINE WORKS導入後は、トークルームやビデオ通話などで気軽に打ち合わせができることになり、わざわざ会議の場をセッティングする必要がなくなりました。複数名でのコミュニケーションに最適なのはもちろん、掲示板機能で一斉通知もできるので、多人数に対する情報の共有が行いやすくなったことも、大きなメリットだと感じています」(設楽氏)
その結果、チーム内でのコミュニケーションが行いやすくなっただけでなく、1対多人数、多人数対多人数の情報共有が容易にできるようになり、それぞれのチームの進捗や状況が「見える化」され、チーム間での連携・協働も進んだという。
さらに100周年記念プロジェクト内だけでなく、平時の業務においてもLINE WORKSの活用は浸透している。2児の母でもある設楽氏は、週に1~2回ほどの在宅勤務を行っており、LINE WORKSについて「なくてはならない存在」と語る。
「通勤に1時間半かかることもあり、在宅勤務ができる点は子育てと仕事を両立させる上で本当に助かっています。LINE WORKSについては、テキストでのコミュニケーションはもちろん、ビデオ通話を使って毎日の朝会を行ったり、資料の読み合わせを行ったり、常時接続してさまざまな使い方をしています。メールよりも手軽に連絡ができ、既読機能で相手の状況もわかりますし、1日何往復もやり取りしています。業務に必須な情報のやり取りだけでなく、ちょっとした相談や問い合わせも気軽にできるのがいいですね」(設楽氏)
LINEに慣れた学生や卒業生にとっても情報取得がスムーズに! 効率的なサポートが実現
さらに大東文化大学では教職員間だけでなく、学生や学外とのコミュニケーションにおいてもLINE WORKSが活用されている。LINE WORKSは同じ組織内でのコミュニケーションだけでなく、ほかの組織のLINE WORKSユーザーとつながることができる。さらに「LINE」のユーザーともつながることができるのは、LINE WORKS独自の特徴だ。
教員採用試験・免許取得といった学生のサポートを担当する、教職課程センター事務室の佐久間裕斗氏は「LINE WORKSで、学生や卒業生が個人で使用しているLINEとやり取りができるようになり、格段に連絡がしやすくなりました」と語る。
「学生とは、これまでは学内のポータルサイトを通じてのコミュニケーションが主だったため、どうしても一方的なやり取りになりがちでした。学生がなかなかほしい情報にたどり着けないことや、1回で提供できる資料の数に制限があるなど自由度が低いことも課題となっており、そうしたことがガイダンスなどへの出席率にも影響していたように思います。
LINE WORKS導入後は、例えば教員採用試験の資料など重要な情報を、教職課程センター事務室から必要な学生にピンポイントで届けることが可能となりました。また学生にとっても、ほしい情報を取得しやすくなったことで出席率の向上につながりました」(佐久間氏)
LINEは多くの学生が日ごろから使用する身近なツールであり、大学からLINE WORKSを通して「資料が自分宛てに来る」ということは出席へのモチベーションにもつながるのだという。また、コロナ禍で学生がキャンパスへ登校できない中、教員採用試験に向けた勉強会の開催情報などを対象者に周知できたことで、例年並みの出席率を保持することもできた。
さらに大きなメリットとして、卒業後のサポートが行いやすくなったことも挙げられる。卒業生は学生向けのポータルサイトを閲覧できないため、これまでは来校や郵送による情報提供しかできていなかった。だがLINE WORKSでつながることができるようになったため、卒業後もオンラインで資料などを提供できるようになった。
「学生も卒業生も、すべての情報をチェックできているわけではないと思いますが、『既読』になると、受け取ってもらえたなと安心しますね。私たちにとっては、必要な人に必要な資料を的確に送る手段ができ、業務効率化やペーパーレスなどのメリットもありました。また学生にも、ポータルサイトをはじめとした複数のサイトから情報を探す必要がなくなり、必要な情報をワンストップで受け取れるメリットを実感してもらえたと思います」(佐久間氏)
大学DXに向けて情報共有を促進! 教職員、学生双方が安心して使用できる情報プラットフォームの将来性について
100周年記念プロジェクトや普段の業務で、また学生や卒業生とのやり取りにおいて、大東文化学園のコミュニケーションプラットフォームとして広く浸透し、多方面に使われているLINE WORKS。導入時より活用を推進してきた小笹氏は「LINE WORKSの使い方について、枠にはめることなく自由に使われることを意図しましたが、(各部署での使い方を聞いてみると) 想像以上にいろいろな使い方をされているという実感があります。部署によって業務の内容も異なるため、それぞれのニーズに合わせた効率的・効果的な使い方を引き続き試してもらいたいです」と述べる。そして、今後の展望について次のように語った。
「少子化が進む中で学校法人として事業存続のため、DXをはじめとしたさまざまな改革が必要なのは明らかです。一方で、そうした変革のスピードを加速させられないというジレンマもあり、そのボトルネックになっているのが情報共有だと考えています。
長引くコロナ禍により対面でのコミュニケーションが制限されることもあり、ますますデジタルでの情報共有の重要性は高まるでしょう。その意味でも、効果的なコミュニケーション戦略を展開し、LINE WORKSの活用について積極的に推進していきたいと考えています」(小笹氏)
具体的には、BCP対策として堅牢なクラウドストレージサービスの導入や、コロナ禍で希薄になりがちな学生間のコミュニケーションを活性化するためのバーチャルキャンパスのような環境も、今後検討の対象に入ることを予想しているという。「そうした場とLINE WORKSを連携させることで、学生が交流しながら学び、楽しめる場とすることができるのではないか」と小笹氏も期待を寄せる。
「LINEは、ほぼすべての学生が使っている状況で、有用なコミュニケーションアプリである反面、テキストコミュニケーションがもたらす誤解などトラブルなども生じています。一方で、LINE WORKSには監査機能なども備わっており、学生にも学校にとっても安心して使えるツールであると言えるでしょう。今後は教職員間だけでなく、学生とのコミュニケーションへの活用も含め、展開を検討していきたいと考えています」(小笹氏)
コミュニケーションのプラットフォームとなり、働き方や業務の改革にも大きな影響を与えたLINE WORKS。今後は、さらに活用の対象が広がることで、大学全体の改革にも大きな影響を与えることは間違いない。今後どのように活用され、どのような効果が得られるのか。「コミュニケーションの力」が期待される。
【教育業界向け】LINE WORKS導入事例集
LINE WORKSを導入した、学校法人・企業へのインタビューがまとまった事例集をダウンロードできます。校務や塾・スクール運営における情報共有の課題と、それらをLINE WORKSでどのように解決したのかについて紹介した資料です。