矢野経済研究所は、国内のリカレント教育市場についての調査に基づく、同市場の動向、参入事業者の動向、将来展望を、2月14日に発表した。
「リカレント教育」とは、キャリアチェンジや社会環境の変化に応じた必要スキルを、社会人が本格的に学び直すための学習サービス。調査結果によれば、2021年度のリカレント教育市場規模(受講料ベース)は、前年度と比較して7.1%増の467億円と見込まれる。新型コロナ禍で、大学が提供するプログラムの多くは集客面で苦戦がみられたものの、民間事業者が提供するプログラムは在宅勤務・リモートワークの広がりや、DXの加速といった背景のもと自身のキャリアプランを見直す個人が増加したことから、とりわけオンラインで完結する教育プログラムが大きく伸び、市場拡大に寄与した。中でも、IT・デジタル系人材の育成に関連するプログラムが好調となっている。
リカレント教育の認知度は、以前と比較して高まってはいるものの、一般的にはそれほど浸透しておらず、特に多くの大学では集客面をはじめとした収益性に課題を抱える。文部科学省では、社会人の学び直しのためのポータルサイト「マナパス」を通じた情報発信強化など関連プログラムの認知向上に努めている一方で、日本国内では学び直しによる転職やキャリアチェンジにつながる人材流動があまり進んでいないことが、「リカレント教育」推進上の大きな課題であり、社会的風土の醸成や制度面での整備が求められる。
2022年度のリカレント教育市場規模(受講料ベース)は、前年度と比較して4.9%増の490億円と予測している。不確実性が今後ますます強まる中で、個人が自身のキャリアプランを見直す動きを強めていく傾向や、企業・社会で求められるスキルの変化、さらには政府による「リカレント教育」の拡充を進める動きなども相まって、リカレント教育市場の需要は高まりを続けていくとみている。
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