アドビは12月14日、豊富なテンプレートや直感的な操作により、誰でも簡単にビジュアルコミュニケーションに適した画像や動画を作成できる「Adobe Creative Cloud Express」を発表した。従来提供されていたAdobe Sparkを機能拡張したもので、Web版とモバイル版のアプリが提供され、小中高校教育機関向けの無料プランも用意されている。
近年インターネットの普及・発達により、動画サイトやソーシャルメディアなどで個人が発信する機会が増え、クリエイティブの専門職だけではなく、一般のユーザーも見栄えのするコンテンツを制作したいというニーズが高まってきた。
これまでアドビでは、印刷物の制作から始まり40年近く、Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorといったプロフェッショナルなクリエイター向けの制作ツール・サービスを手がけてきたが、長年の機能強化の積み重ねによりアプリが高度化・複雑化し、新規ユーザーにとってハードルが高くなる側面もあった。
このような流れを受けて、「すべての人に『つくる力』を」という理念を掲げるアドビが提供するテンプレートベースの制作ツールが「Adobe Creative Cloud Express」となる。
アドビの主力製品で使われている技術や、制作の手間を大きく軽減するAI技術の「Adobe Sensei」、Adobe Stockの画像素材、Adobe Fontsのフォントといったアドビの豊富なリソースが集約されており、どこから手を付けたらよいか分からないような初心者でも、数クリックで、SNSでの投稿からロゴ・チラシ・バナーなどの制作まで、美しくリッチなマルチメディアコンテンツを作成し、共有することができる。
無料プランが用意されており、一部のプレミアムな素材・機能を除いて、主要な機能を使用回数の制限なく利用できる。月額1078円からのプレミアムプランに申し込むと、素材サイト「Adobe Stock」で使えるロイヤリティフリーの写真や、「Adobe Fonts」で使えるフォントの種類が拡張され、さまざまな高度な機能が利用できるようになる。
Adobe Creative Cloud Expressは、Webブラウザからアクセスし利用できるWebアプリのほか、App store、Google Play、Microsoft Storeから入手してインストールするモバイルアプリとして提供される。
また、今回のリリースに伴い、小中高校や教育委員会を対象とした「教育機関向け無償Adobe Spark」は、Creative Cloud Express、Premiere Rush、Photoshop Expressを含んだ「小中高校向けAdobe Creative Cloud Express」にリブランディングされ、引き続き無料で提供される。含まれる内容は次のとおり。
- 無償のAdobe Fonts
- 無償のAdobe Stockコレクション
- 無償のテンプレート
- 無償のテキストロゴ
- 2GBのストレージ
- Adobe Premiere Rush(有償機能含む)
- Adobe Photoshop Express(有償機能含む)
- iOS版のSpark Video
- iOS版のSpark Page
教育機関向け版では、このほかに、教育用途に特化したテンプレート(現時点では英語中心)、Adobe Stockのコレクションが高校まで(K-12)の児童生徒に安全な内容に選別されている、GIGAスクールで普及したChromebookやiPadでの操作性が高くなっている、といった特長がある。
新規の申し込みは、教育委員会または学校単位で受け付けており、製品ページの申し込みフォームから受け付けている。
なお、小中高校でAdobe Creative Cloudのユーザー指定ライセンス(1ユーザーあたり年額約500円から)を導入している場合も、Adobe Creative Cloud Expressを利用することができ、その場合の提供内容は次のように拡張される。
- プレミアム版Adobe Fonts
- Adobe Stockグローバルコレクション
- プレミアム版テンプレート
- すべてのテキストロゴ
- 80GBのストレージ
- Adobe Premiere Rush(有償機能含む)
- Adobe Photoshop Express(有償機能含む)
- iOS版のSpark Video
- iOS版のSpark Page
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