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ゼロから始めてここまでできる! 公立高校でのICT教育実践 第11回

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2021/07/01 07:00

 本連載では公立高校の教員である筆者が、非モデル校においてゼロからICTを活用した授業に取り組んだ際の知見と事例を紹介します。前回に引き続き今回も、読者の皆さまからお寄せいただいた質問にお答えします。

オンライン教育を進める際に気をつけるべき点

本校(某国立大学附属小学校)では昨今の状況を鑑み、ICTを活用した授業の方法について検討しています。以下のように段階を踏んで進めていますが、不安もあります。気をつけるべき点についてアドバイスを頂けますでしょうか。

  • (1)ホームページにワークシートなどの課題をアップロードし、児童が家庭で課題に取り組めるようにする。
  • (2)YouTubeなどの動画配信サービスを利用して、一方向の授業配信(録画配信)を行う。
  • (3)Microsoft Teamsといったサービスを利用して、双方向の授業配信(Live配信)を行う。

(1)について

 すでに多くの議論がなされていることではありますが、クラス全員に同じレベルのワークシートをただ配付するだけでは、子どもによっては難し過ぎて解くことができず、モチベーションが低下するかもしれません。また、双方向のやり取りが少ない場合は孤独感も強くなってしまいます。

 これらを防ぐためにも、特に小学校においてはオンラインでも教員が一人ひとりに寄り添うことが欠かせないでしょう。

(2)について

1つの動画の長さについて

 配信時間は、10分から15分がベストと考えています。その理由には「一方向の授業配信である」ということと「通信費の負担軽減」が挙げられます。動画の視聴で一方向の授業をやってしまうと、恐らく児童は集中力が続かないでしょう。よほどの工夫がない限り、長い動画は控えたほうが無難です。

 また、長時間になればなるほど通信費がかかってしまう点にも注意が必要です。すべての家にWi-Fi環境が整っているのであれば問題ないですが、そうでなければ家計への負担はかなり大きくなります。

動画の内容について

 算数の場合、動画の中では問題の説明や解説を行って、基礎や数式などの理解をさせるのがいいと思います。そして、動画の視聴をし終えたあとに、同単元のプリントに取り組ませるといった方式はいかがでしょうか。もしくはその逆で、最初にプリントなどで演習をさせて、解説動画を視聴させるのも効果的です。10~15分の動画でまとめるとすると量が限られてしまうかもしれませんが、演習の最初に入れるか、最後に入れるかのどちらか二択なるかと思います。いずれにせよ、児童が「楽しく」動画を見続けられるかどうかがポイントだと思います。

動画配信を行った際に感じた成果と課題について

 成果と言えるかはわかりませんが、私の経験上、普段授業を教えてくれている先生がYouTubeで配信しているというだけで、生徒は楽しいようです。また堅苦しくなく、動画の中で生徒を指名したり、冗談を言ったりすることも面白がってくれます。しかし、動画の本数が増えてくればくるほど「質」を求められるようになるので、その点は工夫が必要だと感じます。

 ただ動画をアップロードするだけでは、生徒が本当に動画を見たかどうかのチェックはできません。そのため、動画を見ないとプリントが解けない、理解が追いつかないといった工夫である程度強制力を持たせることも大事かと思います。

 さらに視聴したかどうかのチェックができる工夫もあればより良いでしょう。例えば、動画の中盤や終盤に出席番号を言って次の問題の回答者にしたり、動画の中で教員オリジナルの問題を紹介し、復習や小テストの問題として再度扱ったりするなど、動画を見ることで次の授業がスムーズに受けられる状態をつくると、動画を見る確率がグンとあがります。一人ひとりチェックしたい場合は、視聴したら動画にコメントを必ず入れるように指示したり、Googleフォームなどを利用してアンケートや小テストを行ったりするのもいいでしょう。

 課題は、その動画がどこまで拡散されるかわからない怖さと著作権の問題などです。学校によっては、動画をすべて管理職がチェックし、許可が下りたものだけ配信しているところもあるようです。

 生徒との信頼関係はもちろんのこと、管理職や保護者と密に連絡を取ることが重要なのではないかと感じています。

(3)について

 各家庭で授業を受ける際、例えば背景に個人情報や、からかわれるような内容が映っていると、中傷の対象となってしまう場合もあります。また、教員側のファシリテーションがうまくできなければ、録画した動画を配信する形式と区別がつかなくなり、双方向の授業の良さが失われます。

 クラス全員とオンラインでつなぐと、一言もしゃべらず終わってしまう児童、しゃべり過ぎてしまう児童が混在し、児童がストレスを感じることもあるでしょう。

 以上のことから、ツールの使用方法をしっかりと教え、オンライン上のルールも決めておくといいと思います。また、こちらのファシリテーションスキルも上げていく必要があるでしょう。


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著者プロフィール

  • 浅見 和寿(アサミ カズトシ)

     国語科教員として、公立高校に11年間勤務。元・東京成徳大学非常勤講師。学事出版教育文化賞 優秀賞、旺文社 学びを変える!未来の「学参」企画大賞 敢闘賞等多数受賞。積極的にICT機器を活用し、効果的な授業方法、教員の働き方について研究している。

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