「LEBER for School」導入前
文部科学省からの「健康観察を実施するように」という通達があってから、「LEBER for School」を導入する前までの状況を各学校に尋ねてみました。ほとんどの学校は紙の健康観察表で運用したようですが、中にはWebアンケートフォームを教員が独自に作って挫折してしまった学校も。
大阪教育大学附属天王寺小学校(国光妙子教務主任)
新型コロナウイルス感染症予防のために「毎朝の検温」が義務付けられたことで、本校でも画用紙に印刷した「健康観察カード」を全校児童に配布していました。ですが、毎朝カードを確認・押印する作業は、確実に先生たちの負担を増やします。用紙は2週間分で、全校児童分のカードを印刷する手間もかかります。検温忘れやカードを持ってくるのを忘れた子への対応も、忙しい朝の時間にやらなければなりません。
筑波大学附属小学校(佐々木昭弘校長)
リーバー導入前は、紙に体温・体調を記録していました。子どもたちは教室で手を消毒して担任に紙を渡します。一人ひとりチェックしなければならず教室はどうしても密になりがちでした。全員問題ないか確認できるまで担任はもちろん、児童も自由に活動できません。子どもたちと触れ合う時間が大幅に減り、みんな困っていました。本校は朝の活動としてドッジボールをする時間を設けていましたが、体温・体調チェックに時間を取られてそれもできなくなりました。
横浜市立荏田南小学校(阿部千鶴校長)
新型コロナウイルスの流行に伴い、体温や体調を記載した健康観察票を教師が昇降口で回収、チェックをし、ハンコを押して返却するという運用をしておりました。すぐに紙を取り出せるようランドセルにチャック付きの入れ物を外付けしてくださる保護者もいましたが、家に帰ってくる度、それらすべてを消毒しなければならず、大変だったという声がありました。紙での受け渡しも感染リスクがないとは言い切れず、不安に思っていた保護者も多かったと聞いています。
横浜市立大鳥小学校(宮﨑博隆副校長)
コロナ禍になってからの体温管理は紙で行なっていました。最初は、細心の注意を払って昇降口などで体温チェックをしていたので、家を出る時から紙を手に持って登校してくる児童がいました。風で飛ばされ通学路に落としてくる子もいて、それを地域の人が届けてくださるといったこともありました。また、連絡帳の受け渡しが難しくなったため、出欠席の連絡が電話メインとなり、毎朝電話が鳴り止まず、先生方も疲弊しておりました。
育英西中学校・高等学校(吉澤勇武教頭)
コロナ禍以前からICT化に力を入れていたため、我々は最初から紙の健康観察表は使いませんでした。教員が独自にWebアンケートフォームを作り、生徒は毎朝自宅でタブレットから体温や体調を入力させるようにしました。ところがこれがうまく機能しなかったのです。例えば体調の悪くなった生徒がいて、では前日の体温は?と確認しようとすると、手間がかかるのです。教員たちでいろいろ勉強して改良に励みましたが、限界がありました。スマートフォンで使えないこともあり、結果として生徒の実施率に課題を抱えていました。
孔雀こども園(大野裕史理事長)
うちは7時から保育園、8時半から幼稚園の登園が始まります。朝は職員が少ないので健康観察の負荷が大きいです。自動車登園の子は保護者の車から園児だけ降りるドライブスルー方式を取り入れていますが、紙の健康観察表だとやり取りに時間がかかり、車の列が伸びてしまいます。通園バスも住宅街で長時間停車はできません。そのうち一部の保護者さんは口頭で済ますようになり、健康観察表を出さなくなってしまう始末でした。