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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZineオンラインセミナー

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教育現場でのICT活用事例紹介(高等学校・高等専門学校)(AD)

高校生から本物のテクノロジーに触れ、卒業後の進路にもつながる学びとは? シスコ提供の教育プログラム

次世代IT人材育成プログラム「シスコ ネットワーキング アカデミー」導入事例

 未来を支えるDX人材の育成に取り組む教育機関に対し、さまざまな情報教育を提供してきたシスコシステムズ。その1つとして日本では1999年より提供を開始した、ネットワーク技術者教育プログラム「シスコ ネットワーキング アカデミー」は、受講者数が累計7万人を超え、次世代IT人材育成プログラムとして注目されている。また、2018年にはデジタルラーニングプラットフォーム「デジタルスクール ネットワーク」の提供を開始した。その効果や活用方法などについて、導入校の1つである東京・町田市の都立町田工業高校の前田平作校長と、寺島和彦先生にお話を伺った。

東京都立町田工業高校 前田平作校長(左)、同校 寺島和彦先生(右)
東京都立町田工業高校 前田平作校長(左)、同校 寺島和彦先生(右)

都内唯一の総合情報科専門の高校としてIT人材育成にも注力

 東京都立町田工業高校は1962年に開校以来、工業や電気など時代に合わせたテクノロジー教育を提供する工業高校として、各分野のスペシャリスト育成に取り組んできた。2001年度には都立唯一の総合情報科専門の高校となり、現在は情報デザイン、情報テクノロジー、電気システム、機械システムの4系列で、男子330名、女子99名(2021年1月時点)が学んでいる。特に情報テクノロジー系列は、シスコシステムズ合同会社、株式会社セールスフォース・ドットコム、日本アイ・ビー・エム株式会社、学校法人片柳学園(日本工学院専門学校)との連携による「Tokyo P-TECH事業」の一環として2020年度に新設され、IT人材育成の新たな教育プログラムの開発および実践の場として期待されている。

 前田平作校長は「創立以来、郊外の落ち着いた環境のもとで、時代に即した各種のテクノロジーを学ぶ高校として認知されてきました。教育目標として『人権尊重』『個性重視』『勤労努力』そして『進歩する工業技術への対応』をそれぞれ満たす人材の育成を掲げ、特に4つ目は本校の特色として重視しています。近年では日本の『Society5.0』を支えるIT人材を育成するという使命感のもと、設備環境や教育カリキュラムの充実などを図るとともに、これまで培ってきた機械や電気工学といったものづくりに関する人材育成についても継続して力を注ぎ、アナログとデジタル両面についてのテクノロジー教育に尽力していきたいと考えています」と語る。

 事実、校内のICT環境は、総合情報科専門の高校として恵まれた環境にある。約20年前から独自の校内ネットワークを導入し、教育委員会から提供された教育用ICTネットワーク、そしてBYOD(Bring Your Own Device)に対応した無線LANの環境と順次充実させてきた。現在は、生徒たちが自分の端末で校内のどこからでもインターネットに接続できるようになっている。

 また、同校では進化する社会環境に合わせて柔軟な学科編成を行っており、1年次では情報活用能力を基本としてデザインや機械、電気の基礎的な知識を習得し、2年次よりそれぞれの専門分野を選択する。卒業後については就職と進学が半々で、進学は工学系の大学・専門学校に進む生徒が多く、就職先は交通系やメーカー系、IT系など多岐にわたり、教育公務員を目指す生徒もいるという。いずれの場合も専門性を活かした進路選択が行われている。

 「もともと『ものづくりが好き』という工学系を志す生徒が多く集まっていましたが、近年はITへの興味関心も高まっており、先日実施した推薦入試でもエントリーシートなどに『ITやコンピューターを勉強したい』と志望動機を書く生徒が多くいました。その期待に応える形で『Tokyo P-TECH事業』に参画し、カリキュラムも充実させていきたいと考えています。今後はコロナ禍を機に、オンラインを活用した双方向でのコミュニケーションや研修などがますます増え、重要な役割を担っていくでしょう。その意味でも、シスコシステムズが提供する『デジタルスクール ネットワーク』や『シスコ ネットワーキング アカデミー』での学びに期待しています」(前田校長)

ネットワークの知識は、すべてのテクノロジーの基礎となる「教養」

 それでは「シスコ ネットワーキング アカデミー(以下、ネットワーキング アカデミー)」はどのような目的で導入され、活用されているのか。同校の学校ICT推進担当および総合情報科の科長を務め、情報テクノロジー系列の2、3年生の情報系の授業を受け持つ寺島和彦先生は、「ネットワーキング アカデミー」の導入時期について「ブロードバンド時代の到来がうたわれていた2007年ごろ」と語る。

 「当時、日本のインターネットの普及率は50%程度でしたが、10年後にはあらゆる人がネットワークにつながり、多彩な活用がなされると予測されていました。すでにエンジニア不足が懸念され、工業高校として新たな分野で活躍できる人材育成が求められているとの実感もありました。そこで、ネットワーク技術をカリキュラムとして導入する必要がありましたが、当時は工業高校の学習指導要領の科目では「ソフトウェア技術」や「情報技術基礎」などの一部の単元として触れられるにとどまり、教材も十分に用意されていなかったんです。とは言え、自前で作成するのも難しく悩んでいたところに、『ネットワーキング アカデミー』の存在を知り、内容に魅力を感じて導入を決めました」(寺島先生)

 現在ネットワーク技術の授業は、文部科学省が定める科目以外で、学校の必要に応じて独自に設けられる「学校設定科目」として実施されている。情報テクノロジー系列では、2年次にTCP/IPなど理論主体の学習をする「ネットワーク技術」(2単位)の授業で、テキストのほかに全員が、ネットワーキング アカデミー 入門コースの「サイバーセキュリティ入門」と「IoT/DX入門」も学ぶ。3年次には実践主体の「ネットワーク実践」(2単位)の授業で、ネットワーキング アカデミー キャリアコースの「CCNA」を活用し、最終的にはシスコ認定資格の取得までを目指す。

 また「ネットワーキング アカデミー」の内容が、第4次産業革命や「Society5.0」などを念頭においたものへと変化してきたことを受けて、数年前から、機械システム系列や電気システム系列の生徒も受講できるように、2年次の選択科目でも展開。こちらは入門コースの「サイバーセキュリティ入門」「IoT/DX入門」を中心に授業を行っている。

「ネットワーキング アカデミー」の提供コース
「ネットワーキング アカデミー」の提供コース

 「AIやIoTなどが注目される中で、工業系のものづくりとインターネットとの連携が必須となり、機械システム系列や電気システム系列などと関係する部分も増えてきました。ネットワークはインフラであり、あらゆるテクノロジーに関係する基礎的な部分、ITリテラシーであると考えています。『IT関連の教育』というと、本校では情報デザインや情報テクノロジー系列が注目されることが多いのですが、日本の基幹産業であるものづくりにおいても重要な知識・スキルになっていることは間違いありません。『ネットワーキング アカデミー』を通じてAIやIoT、VR・ARなどITとの連携で新しい価値が生まれるという認識を深め、卒業生がものづくり業界に新しい風を吹かせてくれることを願っています」(寺島先生)

理論から演習、さらに本物同然のシミュレーションで実践的に学ぶ

 具体的な授業の進め方として、オンラインで学習できる入門コースの「サイバーセキュリティ入門」「IoT/DX入門」では、理論主体の授業方式で教員が解説を行い、その上で問題を解くなどの個別学習を行っている。そして、キャリアコースの「CCNA」については高度な内容ということもあり、寺島先生が自作した指導書を使って解説し、実践課題に取り組む方法をとっている。

 「教材の信頼性や先進的な内容の担保はもちろん、入門コースでは自分のペースで主体的に学べることや、その進捗状況をLMSで把握しやすいことなど、オンラインを活用した授業のメリットを十分に享受できています。また、キャリアコースについてはかなり実践的で、実際に手を動かしてシミュレーションができるのも本当にいいですね。各コース内に用意されている『Packet Tracer(パケットトレーサー)』を用いた演習課題は、数百万円という大掛かりな実機投資を行う必要がなく、本物同然のシミュレーションが可能で、生徒にテクノロジーを活用する実感を体験させることができます」(寺島先生)

生徒からも「リアルでわかりやすい」と好評のシミュレーター「Packet Tracer」
生徒からも「リアルでわかりやすい」と好評のシミュレーター「Packet Tracer」

 教材から問題演習、さらにはリアルなシミュレーションツールまで、すべて無料で活用できるのは、都立高校としても導入しやすさにつながったという。ただしキャリアコースの導入には、インストラクター認定を所持する教員が必要であるため、寺島先生自身が研修(注:当時有償、町田工業高校の場合は学校が費用を負担)を受講し、理論から実践まで網羅的に学び、資格を取得した。

 「私自身とても勉強になり、体系的かつ実践的に学べたのはいい機会でした。最後の試験はさすがに緊張しましたね(笑)。しかし、教員がスキルを持っているからこそ自信を持って教えられるし、自ら学んで実践する姿勢を見せることで生徒に良い影響を与えられる。『勉強してテクノロジーを身につけたらこういうことができるんだ』という1つのロールモデルを見せることもできます」(寺島先生)

 理論だけでなく、演習やリアルなシミュレーションを通じてネットワークのテクノロジーの面白さが伝わることで、生徒にも変化が生まれてきたという。授業中の態度はもちろん、進学・就職先にネットワーク関連を選ぶ生徒も増えてきた。

 「ネットワークはインフラとしてあって当然のものなので、なかなか意識する機会が少ないんです。しかし、授業を通じて『誰かがテクノロジーで支えている』ということに気づき、『自分もなりたい』『社会に役立てる』とイメージできる。言わばユーザーから、支える側としてのエンジニアになれることに目覚めるということです。それが学びのモチベーションにつながっていることは間違いないと思います」(寺島先生)

基礎的なIT知識が、将来の学びや仕事でのアドバンテージを生み出す

 町田工業高校では、「ネットワーキング アカデミー」ともう1つ、シスコシステムズが提供する「デジタルスクール ネットワーク」も2019年より導入している。「デジタルスクール ネットワーク」とは、教育者と学習者を安全なネットワークとコラボレーション空間でつなぎ、遠隔授業や学生間交流、教員同士のコミュニティなどの提供を可能とするデジタルラーニングプラットフォームだ。

 導入にあたり、寺島先生は「実社会で活躍している方や全国各地の他校の生徒など、さまざまな人々と交流し、その価値観や考え方に触れることで、生徒の視野を広げる機会を提供できるのではないかと考えました。また自分たちが学んでいるテクノロジーが社会でどのように使われているかを知ることで、今後エンジニアとなる上での目的意識につながると思ったんです」と目的を語る。

 実際、コロナ禍の影響もありここ1年で遠隔授業は一般化したが、2019年時点ではまだ珍しく、接続先のシスコシステムズのエンジニアや北海道・沖縄の高校の生徒との交流、乃木坂46の生田絵梨花さんよりメッセージをもらう機会などもあり、生徒へのインパクトも大きく、大いに刺激を与えたという。

 「以前は、校外学習としてIBMさんやシスコさんのオフィスに伺って仕事の現場を拝見できたのですが、コロナ禍によって難しくなり残念に思っていました。必ずしもリアルな体験と同じとは言えなくても、『デジタルスクール ネットワーク』によってオンラインでシスコのエンジニアの皆さんと交流ができたことは、生徒にとって大変貴重な体験になったと思います。デジタルネイティブ世代だけあって、むしろ対面ではありえないほど積極的に発言していたのが印象的でした」(寺島先生)

「デジタルスクール ネットワーク」での交流授業の様子(2019年撮影) 「デジタルスクール ネットワーク」での交流授業の様子(2019年撮影)
「デジタルスクール ネットワーク」での交流授業の様子(2019年撮影)

 ほかにも、「Microsoft Teams」を使った情報共有や課題配布、「Cisco Webex」での授業のライブ配信など、同校はさまざまなオンライン活用にも柔軟に対応してきた。以前からそうした取り組みを進め、蓄積してきたことで、コロナ禍で登校が危うくなっても学びを止めずに継続できたのだ。

 「生徒たちの適応力はすばらしく、IDとパスワードを教えれば、あとは自主的にツールを使いこなしていきます。特に3年次の課題研究は複数名での協働が必須で、ツールの使い方はさらにパワーアップし、生徒が使いたいように使っています。どうしても教員は頭でっかちになって『やってもいいこと』をルール化して限定しがちです。しかし、モラルや法律の遵守など『やってはダメなこと』を守らせて、あとは自由に使わせたほうが生徒は成長すると感じています」(寺島先生)

 その結果、生徒の知識が先生を超えることもままあり、一部ではそれを問題視する声もあるというが、寺島先生は「先生より生徒が知っていることがあったり、使いこなせるようになったりすること自体は問題ではないのです。先生が準備に手間取って学ぶ機会を先延ばしにするよりも、まずは取り組みをスタートさせることのほうが重要でしょう」と語り、新しいツールや教材の導入に慎重になりすぎることに懸念を示した。そして、生徒たちが自由にツールを扱うためには、使い方以上にサイバーセキュリティやモラルといったリテラシーをしっかりと学ばせておく必要があると話す。

 「これからの時代、どの業界でもネットワークなどのデジタル技術が必要となることは明らかであり、その基礎的な学びが就職や進学において大きなアドバンテージとなることは間違いありません。ですから、専門分野に進む本校の生徒だけでなく、あらゆる高校の生徒にとってITリテラシーを学んでおくことは重要だと思います。その意味でも、『ネットワーキング アカデミー』や『デジタルスクール ネットワーク』は大変効果的でしょう」(寺島先生)

 一部のキャリアコースについては「高校生向けのもう少し易しいコースがあっても?」と要望しながらも、資格を取った教員によるフォローがあれば十分についていけることも実証済みだという。「ネットワーキング アカデミー」や「デジタルスクール ネットワーク」について興味のある方は、ぜひシスコシステムズへ問い合わせてみてほしい。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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