中央大学は、文理を問わず全学部の学生が履修可能なプログラムとして、AI・データサイエンス分野をリテラシーから応用基礎レベルまで系統的に学修する「AI・データサイエンス全学プログラム」を2021年4月より開始する。
同大学は文系・理系あわせて8学部を有し、各学部で情報や統計関連等の科目として、データサイエンス分野の講義を実施してきた。
今年4月にはAI・データサイエンスセンターを設立し、政策動向や社会的なニーズを踏まえつつ、人文・社会科学に関係する多くの学部や組織を有する大学の特長を生かしたプログラムの検討を進めてきた。そして、全学部学生を対象とする本プログラム実施を決定するに至った。
本プログラムにより、中央大学のすべての学部生(2021年度入学定員6281名を含む学生約2万5000名)にAI・データサイエンスのリテラシー科目を提供する。また希望する学生には、プログラミング言語などのスキル取得やグループで学ぶ演習科目を用意し、応用基礎レベル人材の育成をめざす。
「AI・データサイエンス全学プログラム」はリテラシーから応用基礎まで系統的に学ぶ仕組みが特長。ツール科目や演習科目の実施により、学部を問わず応用基礎レベルのスキルを身に着けた人材には修了証が授与される。プログラムを構成する科目は以下の通り。
AI・データサイエンスと現代社会
2021年度の春学期より開講し、文系理系を問わず全学部の学生が受講可能。オンデマンド科目として実施される。「AI・データサイエンス全学プログラム」の導入教育にあたり、卒業単位に認定される科目となる。
数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムが定める数理・データサイエンス・AI(リテラシーレベル)モデルカリキュラムに準拠したカリキュラムで、また内閣府「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」に申請を予定している。将来的には、全学部必修科目化について検討を継続し、高大接続・入学前プログラムとして活用することも計画されている。
AI・データサイエンス総合
2021年度秋学期より開講し、オンラインと対面授業のハイブリッド型講義となる。学修動機づけを提供する実務家による事例紹介を中心とした講義で、データサイエンスが社会で活用されているいくつかの事例を示し、課題の背景を学びながら解決に至る道筋や技術的な基礎知識を学ぶ。
また実践例を学び、さまざまな視点から議論を行うことで、データサイエンスの適用方法や有効性、課題を学修する。事例は検討段階だが、「AIによる体操自動採点システムの概要」「会計ビッグデータを用いた会計情報の活用」「ソーシャルメディア分析によっておこる法的問題」「社会調査士が活躍するデータサイエンスの世界」などを計画している。
ツール科目
多様なメディアを活用したオンデマンド科目として実施する。データ活用のためのMicrosoft Excelや社会科学向けの統計ソフトの基本的な利用方法の理解をめざす科目で、Webアプリケーション開発ツール等、人文社会科学の学部に所属する学生にも役立つスキルが習得できる。また、R、SQL、Pythonなどデータベース操作や汎用的なプログラミング言語の科目も設置される。
AI・データサイエンス演習
産業界や科学技術分野、身近な社会で取得された現実のデータに基づいて課題発見・解決をめざした総合的な活動。2~4年次の学部・学年の枠を超えた実践的グループ活動に3年間参加する。グループ活動として、データサイエンス関連コンペティション等への参加も計画されている。また、本演習に加えて、各学部の既設関連科目の受講を修了要件とする「AI・データサイエンス教育プログラム」を実施する。
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア