昭文社は、学校の通学路の安全確保を支援する製品「通学路安全支援システム」を、2月12日に発売した。
登下校時の事件、事故が後を絶たないことから、教育現場における通園・通学途上の安全確保は、非常に大きな社会課題となっている。一方で、従来の地図を活用したシステムは高額な開発費が必要だった。
今回発売された「通学路安全支援システム」は、昭文社がこれまで培ってきた地図アプリ開発技術と電子地図ソフトの利用を組み合わせることで、導入しやすい価格を実現している。
同システム上に、児童の氏名や自宅住所と定期点検によって確認された危険箇所を登録することで、リスクの高い通学路を通る児童が瞬時に地図上に展開されるので、横断歩道やガードレールの設置、110番の家の設置といった、事件・事故を未然に防ぐスムーズな対応・対策が可能になる。
学校などで設定している通学路だけでなく、児童の自宅から学校に至るまでの経路を登録すれば、特にリスクの高まる1人通学の区間などを念頭に置いた危険箇所を抽出することもできる。
地図上に表示される情報は登録内容に応じて切り替えられるので、学年別に表示することで帰宅時間が異なる場合のシミュレーションなど、より実態に即したリスクの可視化と分析、対策が可能になる。また、登録された情報はCSVファイルや画像として出力できるので、校内や各家庭への情報共有や通学路点検時の報告書作成業務の効率化に役立てられる。
「通学路安全支援システム」の開発にあたって、昭文社が茨城県全域の公立小学校(474校)に対して2019年10月~11月に行ったアンケート調査によれば、回答のあった57校のうち47校が「交通安全上の危険箇所がある」と回答した。
集団登校時の登校班の編成では、PTAや子ども会との連携を行っている学校が多いが、PTAへの参加意識や子ども会への加入率が低下している地域もあり、継続性への課題も浮き彫りになっている。
登下校時の安全確保のため実施している施策としては、「近隣の家や店舗に対し、子ども110番に協力してくれるように呼びかけて、確保している」という回答がもっとも多い。
通学路安全管理をはじめとする社会的な要請が高まっている事柄と、いわゆる「働き方改革」の両立では、25校が増え続ける責任・要請と「働き方改革」の両立に苦慮していると回答している。
通学路安全管理における教員の負担を尋ねた質問では、32校が「地図管理・家庭訪問・危険箇所チェックなど、負担が非常に大きい」と回答した。
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