プログラミングを学ぶことで、将来の可能性が広がる
お伝えした通り、2021年度より中学校でもプログラミング教育が強化される。具体的に何を学ぶのか。イベント冒頭、参加した中学生に向けてミクシィの田那辺輝さんから説明があった。
まず、中学校では2019年の現在も、技術・家庭科の中でプログラミングは取り上げられている。では、2021年度から何が変わるのか。小・中・高共通のポイントとして新学習指導要領では、情報活用能力を言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置づけ、中学校では「技術・家庭科(技術分野)においてプログラミング、情報セキュリティに関する内容」が現在よりも充実する、とされている。
では、なぜ学校でプログラミングを学ぶのだろうか。田那辺さんは文部科学省の『小学校プログラミング教育の手引』を引用し、「これからの社会では情報を適切に選択・活用して問題解決をする必要があり、そのためにはコンピューターの仕組みを知ることが重要です。プログラミング教育は可能性を広げることにもつながるのです」と説明。あらゆる活動でコンピューターの利用が当たり前になるこれからの社会において、将来エンジニアにならなくてもプログラミングは重要になるということだ。
そんな未来に向けて、民間企業も動き出している。渋谷区教育委員会と渋谷に拠点を構える企業が協力し、「Kids VALLEY 未来の学びプロジェクト」を今年6月から推進。小・中学生に向けたプログラミング教育を実施している。ミクシィも参加企業の1社で、今回のイベントもその一環として開催されたものだ。
あのゲームを作っているエンジニアはどんな人?
続いてミクシィの企業紹介が行われ、さらに現場で働くエンジニア自らが、普段の仕事を説明した。
現在中学生の子どもたちは企業としてのミクシィを知らなくても、スマートフォンゲーム「モンスターストライク」の認知度は高い。「遊んだことがある人?」という質問に対して、たくさんの手が上がった。
自身の仕事を紹介したエンジニアは5人。一言でエンジニアと表現しても、それぞれ異なる役割を担っている。
まず、ゲームプログラマーでマネージャーも務める三ツ木陽祐さんが、日ごろどのような業務を行っているのか説明した。ゲームプログラマーの仕事はゲームが身近な存在の中学生にとって、比較的想像しやすい。三ツ木さんはゲームの中で絵を動かしたり、音を鳴らしたりするためのプログラムを書いている。ゲームを操作すると画面が変化し、キャラクターが動くのもゲームプログラマーがいるからこそだ。
2人目として登場したのは福永裕幸さんで、品質保証グループのマネージャーを務めている。中学生にとって「品質保証」はなじみがない言葉だが、「お届けする製品を『素早く』『安心・安全』に、かつ『楽しく』使ってもらうために何をすればいいか考え、作り出す活動です」と福永さん。完成直前のサービスが問題なく動くかテストするだけ、とイメージしがちだが、「それだけではなく、早い段階から提案や改善活動も行います」と説明した。
3人目は社内ITグループで働く上野桂子さんだ。上野さんは自身の仕事を「RPGのファンタジー世界で例えると、装備品を買える何でも屋さん」と表現。「エンジニア=魔法使い」に「パソコン=武器などの装備品」や「ソフトウェア=魔法陣シート」を用意したり、壊れてしまった場合はその原因を調べたりする仕事をしている。わかりやすいたとえに、中学生も興味深そうに耳を傾けていた。
4番目に登場し、「スマホゲームはスマホだけでは動きません!」と話したのはサーバーサイドエンジニアの松原信忠さん。大切なセーブデータはサーバー上に保存されていて、それを管理していることや、ユーザーが増えた場合はサーバーを増やす必要があり、それもサーバーサイドエンジニアの仕事であることを説明した。
最後の5人目として登場したのは、モンスターストライクの開発室室長を務める白川裕介さんだ。白川さんは自身の仕事であるマネジメントを、中学生にとって身近な例である「教室の掃除」をテーマに解説した。掃除は1人でやるよりも複数人で行ったほうが効率的に思えるが、「みんなが好き勝手に掃除を始めたり、掃き掃除ばかりをしたりしていたら、いつまでたってもきれいになりません。進め方や役割分担を決める必要があります。それがマネジメントです」と説明。「ゴールに向かって全員の力を伸ばし、発揮させることが仕事です」と語った。