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算数と理科でのプログラミング教育実践例~『先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本』より

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2017/08/15 07:00

 2020年に必修化となるプログラミング教育は、科目の新設ではなく教科科目の中で実施することが求められています。現場の先生にとって、どのようにプログラミングを取り入れ、どんなことを教えてあげればいいのか、不安が多いかもしれません。そこで『先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本』(翔泳社)から、算数と理科で行われた実践例を紹介します。

「正多角形の角」の理解のためにプログラミング教育を掛け合わせる

 最初に紹介するのは、東京都狛江市の狛江第五小学校(取材当時)の竹谷正明先生が取り組んだ、算数にプログラミングを組み合わせた授業です。

 竹谷先生はクラブ活動などでプログラミングを教えてきただけでなく、主任教諭として校内にプログラミング教育を教える立場でもあります。積み重ねてきた実践の中で手応えを感じた授業の一つが、「「正多角形の角」の理解のためにプログラミング教育を掛け合わせる」です。

竹谷正明先生
竹谷正明先生:図形のイメージの理解に、プログラミングは有効!

 必要な設備環境は、iPadがクラスの人数分、Wi-Fiアクセスポイント搭載の電子黒板。これらをセットして普通教室で行います。

 同校の算数の授業では3クラスを発展(1)、基本(2)、補充(1)と4つのコースに分けています。紹介する授業例は発展コースで行ったもので、計算などの理解が優れ、パソコンが家庭にあるためプログラミングのイメージも持っている児童が多いとのこと。プログラミング教室に参加したことのある児童も三分の一ほどを占めます。

 単元の狙いとしては、図形についての観察や構造理解などの活動を通して、平面図形についての理解を深めること。そして図形の性質を見出し、図形を調べたり作ったりすることです。

 単元は8時間で構成され、流れは以下の図のように考えられています。今回は最後の8時間目を紹介します。

単元の流れ(全8時間)
単元の流れ(全8時間)

内角の和の理解から、正多角形をプログラミングで描く

 8時間目の狙いは「正多角形の1 つの内角の大きさをもとに、正多角形を描くプログラムを考えることができる」こと。図形を視覚的に理解しやすいScratchがよく知られていますが、Flashが必要なためiPadでは使用できません。そのため、Pyonkeeという、ScratchをベースにしたiPad用アプリを使用します。

 授業の展開は以下の表のとおりです。

時間 学習活動 ○留意点 ★評価
2分 ◆既習事項の確認をする
 多角形の内角の和について学習したことを想起する。
○三角形の内角の和が180°であることをもとに多角形の内角の和を求めることを確認する。
20分 ◆課題をつかむ
・プログラミングでいろいろな正多角形を描こう
◆正方形の描き方を考える 
・辺の数が4本、1つの角が90°をもとにして考える。
◆正三角形の描き方を考える
・1 つの角の大きさを求める。
・辺の数3本、1 つの角60°をもとにして考える。
・うまくいかない場合、どこを変えればよいか考える。
・必要な数値を変えてやり直す。
◆正六角形の描き方を考える
・正三角形でうまくいかなかったことをもとに考える。




○「繰り返し」ブロックの使い方を確認する。


○「60°回す」ではうまく描けないことを確認する。



○外角の大きさを考えるとうまく描けることに動作で気づかせる。
10分 ◆正五角形の描き方を考える
・これまでの結果を表にまとめ、きまりを考える。
・きまりをもとにして、正五角形が描けるプログラムを考える。
○繰り返す数×回す角度が360°になることを確認する。
10分 ◆いろいろな正多角形の描き方を考える
・自分で考えた正多角形を描くプログラムを考える。
・できた多角形とプログラムを発表する。
○必要に応じて、電卓やヒントカード(演算ブロックの説明)を使わせる。
★試行錯誤しながらも自分の考えをプログラムで表現しようとしているか(観察・成果物)。
3分 ◆振り返りをする
「今日の授業で感じたことや考えたこと、もっとやってみたいことを書きましょう。」
 

 授業は、ブロックの使い方などを繰り返し確認しながら、正三角形や正方形の書き方について児童自身が試行錯誤できるように指示をしましょう。また、先生が描き方をトライアンドエラーしてみるのも有効です。

 ペアワークでも取り組み、自分で考えたり友達と話したりする中で正五角形や正六角形、それ以外の様々な正多角形を描いてみてもらいましょう。

竹谷先生の振り返り

――授業の中での工夫を教えてください。

 授業展開の中で、児童に一度失敗を経験させることを大切にしています。本時でも正三角形がうまく描けない過程をポイントとして入れました。正三角形を書かせる際に、内角の和は180度だという既習内容を振り返り、「1つ分の角は60°回すのでいいよね?」と児童に発問しながら、教師がトライして見せました。

 しかし、実際は60°回転するのではなく、「180°-60°=120°」回転させなければいけません。それを、結果が予想と違うことで気づかせたいと思いました。プログラミングでいう、デバッグにあたる作業を経験させることを大事にしたかったのです。最終的には、外角がわかれば正三角形を描くことができるということに気づけますよね。そこをスーッと通りすぎてはいけないと思い、引っかからせるように仕組みました。

 とはいえ、子どもに失敗させてしまうのは、いろいろな配慮が必要です。ですから、今回の授業では、教師の私が失敗してみせ児童に気づかせるようにしました。

――授業の中で特に伝えたかったことを教えてください。

 プログラミングの繰り返しの便利さや、一部を変えると結果が変わるということを実体験として学ばせることです。それが、プログラミングの基礎になると考えました。今回の授業では、そうしたことを感覚的につかめるようにはなったのではないかと思います。

 正方形は、「90°×4角」ですから360°になります。「では、正五角形は何度回せばよいのだろう?」と考えさせます。360°を5で割れば一角の角度が出るはずだと考えを巡らすことができます。そうすると、一角72°と導きだせますよね。その後、「考えたことがその通りかどうか確認してみよう」と促し、「見つけたきまりは本当だったんだ!」と気づかせるという思考の流れを組みました。

――授業の課題を教えてください。

 時間のやりくりが一番の課題だと感じています。プログラミング教育をうまく組み込んでいければよいのですが、45分内に教科の内容とタブレットなどの操作が求められるので、どうしても追われるようになってしまいます。時間があれば、七角形を描かせたり、72°なら72°と数字で記入するのではなく数式(360÷7)を入れる操作をしたりということを試してみたかったです。

 そうすると、分数で表記すると七角形が描けるというようなことが理解できるようになるはずです。算数の学びが非常に発展的になりますよね。今後も、時間の効果的なやりくりを考えていきたいと思います。


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著者プロフィール

  • 渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

     翔泳社マーケティング広報課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。 Twitter@tiktakbeam

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