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より良いプログラミング教育のためには「恐れないこと」が大事――『ルビィのぼうけん』のリンダさんに聞く

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2019/02/25 07:00

 小学校でのプログラミング必修化まで、いよいよ残り1年となった。そんな中、コンピューターを使用せずにプログラミングの考え方を学ぶ、アンプラグドの教材として有名な絵本『ルビィのぼうけん』シリーズの著者、リンダ・リウカスさんにインタビューを実施。世界の事情をよく知るリンダさんに、「プログラミング教育をどう進めるべきか」ということや、「アンプラグド教材の活用法」、そして日本の先生方へのメッセージを伺った。

『ルビィのぼうけん』シリーズの著者 リンダ・リウカスさん
『ルビィのぼうけん』シリーズの著者 リンダ・リウカスさん

恐れず、情熱を持って教えることが重要

――日本では2020年に小学校でプログラミング教育が必修化されます。専門家の間でも何を重視すべきか異なる意見が出ており、現場の先生にも混乱が広がっています。

 プログラマーと同じアプローチで解決することを提案したいと思います。つまり、大きな問題から小さな問題へと細分化して考えるのです。

 私の住むフィンランドでは、2016年にプログラミングが必修化されました。日本より2年分情報が少ない中で始めたと言えます。そこで感じたのは、最善の方法は「実験してやってみる」ということです。

 問題はいくつかありますが、恐れを感じてはならないし忍耐力が必要です。解決策は1つではないでしょう。前回の来日は1年半前でしたが、そのときと比べると日本の先生たちは恐れを感じることなく、実験的に取り組んでいるようです。

 全ての先生が熱心になることは非現実的です。そこでフィンランドでは、「マスター・ティーチャーシステム」を導入しました。学校にで1人「マスター・ティーチャー」を決め、プログラミング教育に責任を持ってもらいます。マスター・ティーチャーは他の先生に指導する役割もあります。若い先生でも経験のある先生でもいいし、専門は算数でも芸術でもいい。重要なことは、国が予算をつけていることです。どんなトレーニングをして、どんな教材を使うのか、どのようなカリキュラムを作るのか……マスター・ティーチャーが独自性を持つことができるように予算を担保しています。

 プログラミングを教えるにあたってもっとも難しいことは、動機付け、つまりモチベーションを持ってもらうことです。カリキュラムや評価、生徒への指導は動的で、時間とともに開発されていきます。プログラミング教育に情熱を持ち、やり方を確保していくためには、教えられる先生を生み出すことが課題です。

――教材をどう選べばいいか、日本の先生にアドバイスはありますか?

 オランダのコンピューターサイエンス研究者であるエドガー・ダイクストラ(Edsger Wybe Dijkstra)氏は、「天文学が望遠鏡に関する学問でないように、コンピューターサイエンスはコンピューターに関する学問ではない」と述べています。私たちが「コンピューターサイエンス」と聞くと「コンピューターを勉強する学問」と想像しますし、「コードを書く」と聞くと「コンピューターに命令を与える」と考えますが、これは陥りやすい過ちです。

 実際は、コンピューターを通して教育や健康、エネルギー、場合によってはエンターテイメントといった大きな問題を考え、解決することがコンピューターの役割です。もし私が先生なら、アクティビティを選ぶ際に「どうやって問題解決するか」「子どもが自己表現できるのか」などを念頭に置いて考えます。この視点が重要だと考えます。

――教材のひとつとして『ルビィのぼうけん』シリーズのようなアンプラグド教材がありますが、実際にコンピューターを使う教育も重要です。アンプラグドから実際にコンピューターを使った教育にスムーズに移行するためのポイントはありますか?

 これといった答えはありません。というのも、まだ現実の世界で、一定の子どもを対象とした研究の成果が報告されていないからです。

 裏付けに乏しいですが、私個人の体験を話します。まず『ルビィのぼうけん』を読み、Scratchなどの視覚的なプログラミング言語を使いながら、本で読んだテーマを作り出します。これが最善の方法かどうかはわかりませんが、子どもは楽しんでいました。例えば『ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング』でルビィは宝石を集めますが、宝石集めのゲームを作ってみるのもいいかもしれません。

 中国でこのアプローチでのアクティビティをやり、『ルビィのぼうけん』に関連したScratch教材をいくつか作りました。世界中のコミュニティで関心を持ってもらい、学び合う動きが出てきているようです。


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