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イベントレポート(英語教育)

日本の英語力は過去最低の96位に転落──AI時代に問われる「人間ならではの言語能力」とは?

「EF 英語能力指数(EF EPI)2025年版 発表会」レポート

トム・ガリー氏が語る「AIエージェント時代の教育」

 発表会の終了後、教育におけるAIの活用について積極的に発信を行っているトム・ガリー氏にお話をうかがった。生成AIが急速に進化し、自律的な「エージェント」へと移行しつつある現在、学びはどう変わっていくのだろうか。

トム・ガリー氏
トム・ガリー氏

 ガリー氏は、AIの進化により「初歩的な技能習得の必要性は薄れている」と指摘する。例えばプログラミングにおいて、かつては一行一行コードを書き、アルゴリズムを学ぶ必要があったが、今はその作業をAIが担えるようになった。

 「だからといって人間が不要になるわけではない」と、ガリー氏は指摘する。

 「どのようなシステムを構築するか、ユーザーはどう使うかといった『上位レベルでの俯瞰的な思考』や、問題を定義して解決策をAIに任せる力は、依然として人間にしかできない。これまでは10年、20年の経験者しかできなかったような高度な判断を、若いうちから教育していく必要がある」という。

 この視点は語学学習にも通じる。単なる翻訳やメール作成はAIで事足りるかもしれない。しかし、これから海外進出をする企業が、接点のない国と商売をする際、そこには言語だけでなく「文化の違い」や「文脈(コンテキスト)」の理解が不可欠となる。

 「AIは多言語を操るが、社会の当事者ではなく、アイデンティティや倫理的な立場を持っていない。だからこそ、言語、社会、文化、そしてビジネスの文脈を統合して判断する『人間力』をどう育てるかが、これからの教育の課題になる」と、ガリー氏は話した。

順位低下を「学習の質」転換のチャンスへ

 今回のEF EPIの結果は、日本の英語教育にとって厳しい現実を突きつけるものだった。しかし、ガリー氏の提言は、単にスコアを上げるための「暗記型学習」に回帰するのではなく、AIを使いこなしながらも、AIには持ち得ない「文化的背景の理解」や「対人コミュニケーションの価値」の重要性にも改めて気付かされるものになった。

 「非常に低い」という現在地から、AIという強力なツールを手に、日本がどう巻き返していくのか。教育現場での「人間ならではの学び」の再定義が問われている。

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、教育におけるデジタル活用を中心に、全国の学校を取材・執筆を行っている。渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足しプログラミング体験教室などを開催したほか、シニア向けサポートを行う渋谷区デジタル活用支援員としても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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