LINEみらい財団と常葉大学は、SNSの誹謗中傷リスクを学ぶための情報モラル教材「ネットの書き込みに対する上手なリスクの見積もり方を考えよう」を共同開発し、2月10日にLINEみらい財団の公式サイトにて公開した。

同教材は、よりよいインターネット環境作りの推進を目的とした、2月11日の「セーファーインターネットデー」に関連したもの。また、こども家庭庁が2024年3月に発表した「令和5年度『青少年のインターネット利用環境実態調査』報告書」によると、小学生から高校生にかけて「悪口やいやがらせのメッセージやメールを送られたり、書き込みをされたことがある」という項目に該当する児童生徒の割合が年々増加傾向にある。このような子どもたちの情報モラルの育成が急務となっている背景によって、今回の教材が開発された。
同教材の対象は中学生・高校生で、シチュエーション別でのSNSの情報発信リスクの見積もり方やテキストコミュニケーションならではの特徴、悪質なSNS投稿への対応方法などを、ワークショップ形式で学べる。無料でダウンロード可能なほか、活用型情報モラル教材「GIGAワークブック2026年度版」への掲載も予定する。

具体的には、ネット上で書き込みを行う際、この内容や場所だから絶対に大丈夫と判断するのではなく、かけ合わせ方によってリスクが変容することをワークを通じて考える。明確な基準があるわけではなく、シチュエーションによってリスクはグラデーション的になることを知り、リスクの見積もりの大切さを体験する。
また、SNSなどで悪質な書き込みの被害に遭った際に「大人に相談する」と理解しておくだけでなく、どのような被害であれば誰に相談するかを具体的に考えるワークを取り入れる。あわせて、SNSにおける投稿基準を提示することで、感じ方だけでなくネット上のルールの理解にもつなげる。
さらに、ネット上の誹謗中傷を防ぐには、「加害者」や「被害者」としての適切な行動はもちろん、傍観者や観衆のような「周囲から見ている人」による影響も考慮する必要があることから、周囲の要因によるリスクの変化を学ぶとともに、これらを考慮したリスクの見積もり方の重要性についても取り扱う。
実施時間は50分で、特別活動を中心に道徳・国語・社会・技術・家庭・情報・総合的な学習(探究)の時間での利用に対応する。
LINEみらい財団では、同教材の公開にあわせてオンライン授業を4月より実施予定となっており、公式サイトでは講演依頼も受け付けている。
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