職員同士のアイデア共有がポイント
──こういった職員の皆さんの実践を見て、八重樫さんはどのように感じていらっしゃいますか?
八重樫:ハンズオンで習得した知識にとどまらず、自分でネットやYouTubeなどで勉強する職員が多く、驚かされています。
浪越さんや成重さんのように、自分で技術を調べて開発する職員が増えてきたら、僕ら情報システムの専門家は、より専門性の高い技術を習得して価値を提供しなければいけないと思うんです。そうでないと、エンジニアとしての価値がなくなってしまう。これはDXラボへの刺激にもなっています。
また、職員の異動が多いことでシステムが広がっていき、職員同士で知見が共有されることもポイントです。ハンズオンから発想するアイデアは、それぞれの職員が普段携わっている業務によっても異なります。お互いに「それ、どうやって作ったの」と情報交換をすることにより、新たな業務システムの開発につながっていくと思うんです。そういった空気が自然と醸成されていることも理想的だなと感じます。
武田氏:そうですね。デジタルONEアンバサダー制度を始めて3年目になりますが、職員の意識が明らかに変わってきていると思います。規則を遵守し、決められた業務をこなすことのみが大学職員の姿だと思い込んでいましたが、自ら業務を改善することができる手段を手にしたことで、意識が変化するきっかけになったと感じています。
──最後に、大学でのDXやシステム内製化を進めようとしている方に向けて、メッセージを頂けますか。
八重樫:香川大学はDXにおいて「組織の文化を変える」ことを意識しています。ただ補助金でシステムを導入して終わりではなく、本質的には大学組織の文化を変える、具体的にはデジタル技術を用いて業務を少しづつでも改善していく組織にするということです。ですから、実際にシステムを作れる人材が育ち、そうした文化を醸成するためにも、今回のデジタルONEアンバサダーのような取り組みが重要です。
先述の通り、本学では他大学へのハンズオンも承っています。DXラボの学生や非情報部門の職員が講師として、全国各地にお伺いしています。講師によるデモンストレーションを見ながら実際にシステム開発を体験できるので、興味がある方はぜひお問い合わせください。