日々のちょっとした活動でも、教員はどんどん参加を促してほしい
デジ連が目指すのは、誰もがデジタル系大会に気軽に参加できる世界観だ。従来の「デジタル人材育成=技術者を増やす」といった考え方とは、異なる思想が感じられる。
「デジタルは、課題を発見したり解決したりするためのひとつのツールに過ぎない。われわれは、デジタルを使って積極的に世の中をよりよくする人が育ってくれればいいと考えている」と鹿野氏は語る。
続けて佐々木氏も「1人で全部をやる必要もない。チームで協力し合って、互いの強みを生かしたほうがよいと考えている。多様性が増すほどアイデアに深みが出てくるので、生徒がそれを実感できる大会を目指せたら」と述べた。
このようにデジタル系大会への参加のすそ野が広がる中で、学校教員の立場からは生徒をどのようにサポートできるだろうか。
鹿野氏は「先生方は『こんなものを出してもいいのかな』と思わず、日ごろの授業や部活で取り組んでいる内容をもとに、どんどん生徒へ参加を促していただきたい」と話し、授業や学校活動での取り組みから大会への応募に至ることを期待した。
また、生徒の日々の活動に注目し、生徒同士が協力し合う雰囲気を作ることも重要な支援となる。
「先生には生徒それぞれの個性を見て、それらをつなぐサポートをしていただきたい。また、多様なバックグラウンドの生徒が集まって話し合う中で『見過ごされいる人(属性)がいないか』と配慮し、声がけしてあげると、気づきにつながると思う」(佐々木氏)
今後もガイドラインのバージョンアップに向けて検証・分析を重ねる
現在デジ連のWebサイトでは中高生向けを中心としたデジタル系大会のデータベースが公開されており、キーワードで検索して気になる大会を見つけて、参加することができるようになっている。
今後はこの大会データベースに「マル適マーク」のような評価を表示することも検討しているという。「ガイドラインを普及するために、しっかり遵守している大会にはそれがわかる認定マークを付ける」と鹿野氏は説明する。そのためには認定基準も決める必要がある。「募集要項等がダイバーシティに配慮されているか」「審査員・運営スタッフの過半数が女性になっているか」といったポイントが基準になる予定だ。
さらに佐々木氏は「今後はガイドラインを適用した各大会の実態を調査したい」展望を語る。どのようなテーマや応募要項で、どのような属性の参加者がどれくらい集まったのかデータを分析することで、ガイドラインも適切な方向にバージョンアップされていく見込みだ。