ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、学校で子どもたちが経験を通して学びを深める「探究的な学び」が広がっている背景を受けてまとめた、「経験を通して学ぶことの意味を考えるデータ」を4月15日に公開した。
今回公開されたデータは、小学1年生~高校3年生までの12学年、約2万組の親子における意識・行動の変化を、2015年から継続して追っている親子調査「子どもの生活と学びに関する親子調査」(東京大学社会科学研究所との共同プロジェクト)の結果を新たに分析したものとなっている。
小学4年生~高校3年生の子どもに、1年間に経験したことを尋ねたところ、調査した9年間で「好奇心・探索の経験」と「果敢な挑戦の経験」は2~3割で横ばい、「将来を考える経験」は4割強で横ばいだった。一方で、「夢中・没頭の経験」は7割から6割に、「達成・自信の経験」は4割から3割に減少している。
「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は、少ない子ども(少群)と比較して「一度決めたことを最後までやりとげる」(粘りづよさ)、「難しいことや新しいことにいつも挑戦したい」(挑戦心)を肯定する割合が高かった。この結果から、「チャレンジングな経験」は非認知能力と関連があると考えられる。
「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は、少ない子ども(少群)と比較して「社会の出来事やニュースへの関心が強い」(社会への関心)、「将来の目標がはっきりしている」(将来観)を肯定する割合が高かったことから、「チャレンジングな経験」は社会に対する見方や将来に対する考え方と関連しているといえる。
「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は、少ない子ども(少群)と比較して「自分のよいところが何かを言うことができる」(自己肯定感)、「自分は今、幸せだ」(今の幸せ実感)を肯定する割合が高く、自己認識や幸せ実感とも関連していると考えられる。
「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は、少ない子ども(少群)と比較して「授業が楽しい」や「勉強が好き」を肯定する割合が高いことから、学習に対する意識と関連しているといえる。
「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は、少ない子ども(少群)と比較して「暗記すること(ものを覚えること)」や「論理的に(筋道を立てて)考えること」に対して「得意」だと回答する割合が高く、認知的な能力に対する自己評価とも関連があると考えられる。
「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は、少ない子ども(少群)と比較して学業成績が良い傾向がみられる。多群は少群よりも「上位層」が多く、「下位層」が少ないことが明らかになった。
「チャレンジングな経験」が多い子ども(多群)は、少ない子ども(少群)と比較して「勉強が好き」を肯定する割合が高く、その傾向は成長しても続く。小学4年生の時点で「チャレンジングな経験」が多い子どもを9年間追跡したところ、高校3年生の時点まで一貫して「勉強が好き」を肯定する傾向がみられた。
「チャレンジングな経験」は、「勉強が好き」の意識をはじめ「自己肯定感」「学業成績」「幸せ実感」といったさまざまな要因に影響しており、「勉強が好き」を経由して「学業成績」や「幸せ実感」を高めるといった間接的な効果もみられる。
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