コニカミノルタジャパンは、学校教育向けソリューション「tomoLinks」において「生成AI学習支援機能」を開発したことを、1月31日に発表した。同機能は小中学校の協働学習で安心・安全に対話型生成AIを利用できるもので、学習支援サービスへの搭載は国内初となる。なお全国の小中学校、教育委員会を対象に、同機能の先行トライアルユーザーの募集を2月1日に開始する。
学校教育における生成AIの利用では、2023年7月に文部科学省からもガイドラインが発表されるなど、社会的な注目が集まっている。学習指導要領でも「情報活用能力」を学習の基盤となる資質・能力と位置づけ、情報技術を学習や日常生活に活用できるようにすることの重要性が強調されている。
そのような中、新たな情報技術であり多くの社会人が生産性の向上に活用している生成AIに対する仕組みの理解や、学びへの活用、近い将来に向けて使いこなすための力を意識的に育てることが重要と考える意見も増えている。
また子どもたちの学習環境や学習習熟度などの多様化を受け、「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」が求められており、対話型生成AIは教員の支援ツールとして有効な技術であるとも考えられている。
教育現場では、対話型生成AIを取り入れることが求められる一方で、個人情報やプライバシーに関する情報が生成AIの機械学習に利用される可能性があることや不確かな情報を回答されること、利用方法によっては子どもたちの考える力を育てられない、などの懸念点も多く指摘されている。
こうした背景を踏まえて同社は、教育現場で子どもたちが安心・安全に生成AIを知り、活用する学習環境を実現し、AI時代に必要な情報活用能力の向上と個別最適化された学びをサポートするため、小中学校の協働学習で活用されている「tomoLinks」の「とも学」(学習支援サービス)の一部として「生成AI学習支援機能」を開発し、無償トライアルの提供を開始する。
「生成AI学習支援機能」の特徴は以下の通り。
子どもたちの考える力の育成をサポート
同機能では利用する子どもたちの学年に合わせた回答の提示方法など、対話型生成AIの指示文(プロンプト)をあらかじめ教員側で設定できる。既定で提供されるテンプレートでは、子どもたちの質問に対して直接的な解ではなくヒントを提示することにより、子どもたちの思考をサポートする設定としている。これにより、教員は子どもたちに適切な設定を行った対話型生成AIを展開できる。
また同機能は、協働学習を支援する「とも学」の一部機能として展開されている。「とも学」のワークシートも併用することにより、アプリケーションの切り替えを行うことなく生成AIを活用して導き出した子どもたちそれぞれの発想をクラスで共有、発表することが可能。これにより、クラスメイトの多様な考え方に触れる機会や、さらなる発想へつなげていく。
安心・安全な利用環境
同機能は、Microsoft社が提供するAzure OpenAI Serviceを経由して対話型生成AIを利用し、小学校を含む初等・中等教育を行う学校向けに設定して提供される。教員や子どもたちが入力した情報はAIの学習には利用されない。有害なキーワードや回答を提示しないようフィルタリングも設定されており、安全な利用環境を実現した。
教員側で生成AI機能の有効化と無効化を制御できるため、授業で必要なシーンに絞って子どもたちに利用環境を提供できる。また子どもたちが生成AIとどのようなコミュニケーションをしたか、教員の画面から確認できるなど、対話型生成AIを教育現場で安心して利用できる環境を提供する。
登録不要で簡単に利用開始
ChatGPTなどの対話型生成AI機能は、その利用に学習支援サービスとは別の新たな個別のIDとパスワードの設定が必要となる。同機能は、学習eポータルを始めとしたすべての「tomoLinks」のオンラインサービスと同じID・パスワードでシングルサインオンできるため、煩わしいユーザー登録や管理から解放される。
なお同社では生成AI関する適切な指導方法や、より教育現場で活用しやすい機能へと発展させるべく、全国の小中学校、教育委員会を対象に先行トライアルユーザーを、2月1日から募集する。募集要項は以下の通り。
- 対象:全国の教育委員会、または小中学校(高等学校は応相談)
- 募集期間:2月1日~4月30日/トライアル期間:2024年春から順次開始(申込受付より3カ月程度)
- 参加費:無料
- 条件:授業での活用方法とその内容に関するレポートとアンケート回答への協力
- 申し込み方法:Webサイトからの申し込み
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