大阪大学と日本電気(NEC)は、大阪大学に関わるすべての構成員の統合ID基盤「OUID(Osaka University IDentity)システム」を構築したことを、12月20日に発表した。「OUIDシステム」では、現在大阪大学に在籍中の学生および教職員約3万人に加えて、入学前や卒業後・退職後を含めた生涯的なID活用を想定している。
大阪大学は「OUIDシステム」を活用したアプリケーションの第1弾として、NECの顔認証技術を活用した入場管理システムを、2024年4月から大学構内の屋内および屋外の計26か所に全学共通のインフラとして設置・導入する予定となっている。この顔認証技術は、NECの生体認証「Bio-IDiom」の中核技術であり、世界No.1の認証精度を備えている。なお、同入場管理システムは国内の大学では最大規模となる。
大阪大学では、中期経営計画で掲げる「OUマスタープラン2027」の一環として、2022年4月にOUDX推進室を立ち上げ、学内のDXを推進している。そのDX施策の中枢を担う施策として、入学前や卒業後・退職後を含めた生涯的なID活用を想定し、大阪大学に関わるすべての構成員の統合ID基盤として、クライアント証明書による認証機能を持つOUIDシステムを2023年3月に構築した。
証明書を事前にデバイスへインストールしておくことで、利用者の管理端末外から不正利用されるリスクを低減させ、認証時の作業負荷を軽減できるほか、マイナンバーカード連携による本人確認機能も利用可能となっている。こういった統合されたIDを基に、卒業生など大阪大学コミュニティに存在するすべてのステークホルダーに、学内外に対して付加価値の高いサービスを提供する「OUIDサービス構想」の実現を目指す。
2024年4月から導入される入場管理システムは、吹田キャンパスの本部事務機構棟をはじめとするその他建物含め計26か所での設置を予定している。構成員に一意に割り当てられた生涯IDであるOUIDと連携したシステムにより、採用・退職・配置換などの人事異動と自動連動した入場管理といった、利便性向上・安心感・先進性を実感できるサービスを提供する。これにより、シリンダーキーやIC・磁気カードといった、建物や部屋ごとに異なっていた入場管理の方法が統一され、手書きの鍵貸出台帳の準備や記入といった煩雑な手続きも不要になる。
現在は、OUIDと連携したデジタル学生証/教職員証、大阪大学のコミュニティ(受験生・在学生・卒業生・教職員等)に関わる人財データを、厳重なセキュリティ管理のもと一元的に集約・管理し、分析・活用する基盤であるOU人財データプラットフォームを構築中となっている。
OUIDと連携した顔認証技術の適用については、大阪大学附属図書館における入場ゲート・本の貸出・返却・自習室の混雑検知、授業の出欠管理、事務系パソコンへのログオンといった、学内でのさらなる利活用を目指す。将来的にはOUIDシステムについて、大阪大学を利用する学外の人にも展開するなど、社会貢献活動も視野に入れているという。
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