コニカミノルタジャパンは、箕面市教育委員会(以下、箕面市)が採択されたデジタル庁が実施する「令和5年度教育関連データのデータ連携の実現に向けた実証調査研究」(以下、実証調査研究)において、学校教育向けソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」を提供することを、12月8日に発表した。
箕面市では、経験年数20年以上のベテラン教員の大量退職という背景から、若手教員の指導力・授業力の向上と子どもたちの継続的かつきめ細やかな育成を進めるために、独自の「箕面子どもステップアップ調査」を実施し、小中9年間の学力・体力・生活実態に関するビッグデータの把握・分析を行っている。
その施策のひとつとして「tomoLinks」を活用。児童生徒約1万3000人の10年分の学力テストや生活状況調査から把握できる環境データをもとに、独自の分析AIモデルを作成して教育データの活用を実践した結果、60%以上の児童生徒の学力が向上する効果を生み出している。
今回の実証調査研究では、これまでも箕面市で活用されてきた「tomoLinks」を通じ、スタディログやそのほかの教育データのさらなる活用を進めるために、効果的な分析手法の確立と分析に有効なデータの特定を行う。また改訂された個人情報保護法下における「教育行政系データ」の活用方法についても検討を行い、これまで箕面市が進めてきた教員の働き方改革、子どもたちの学び方改革のさらなる加速を目指す。
検証は「tomoLinks」の「先生×AIアシスト」の機能を活用し、小学校6年生と中学校1年生の学級を対象に11月より開始された。以下2つの観点で実施している。
個別最適な学びにおける検証
現在実施している各種小テスト、単元テスト、図書教材の取り組みデータおよび各種学習アプリケーション上のログやコメントデータを「tomoLinks」に蓄積し分析することで、児童生徒の学習への反映が可能となる。これらの分析結果を教員や児童生徒の「tomoLinks」のダッシュボード上に表示し、学習の個性化を支援できる仕組みについて構築手法の実証を行う。教員へのアンケートやヒアリング内容も含めて実証結果を考察し、総合的な効果の把握を行う。
生徒指導・学級経営における検証
学級崩壊の予兆をいち早く把握して手だてを講じられるように、また常態的に学級状況に関するデータを取得することで、きめ細やかな指導に向けた分析が可能かを検証する。分析には子ども自身が入力する「tomoLinks」の「こころの日記」をはじめ、学級のきずなや子どもたち同士の関係性、保護者との連携状況、そのほか学校などが所有する定量・定性データ、主観・客観データなどから有効なデータを見いだし、分析手法とその効果について調査研究する。
「tomoLinks」は、教育現場のフィードバックを製品に反映しながら開発を進めてきたクラウド型学習支援サービスで、「学習支援」「先生×AIアシスト」「授業診断」の3つのサービスで構成されている。これらのサービスを学校の教育プラットフォームとして導入することで、デジタル端末だけでなく教育データの効果的な活用が可能になり、子どもたち一人ひとりの力を最大限に引き出す個別教育の実現を推進する。
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