三菱みらい育成財団は、同法人が2020年度から高校生を対象に実施している「探究型学習」プログラムへの助成事業を通じて得た知見と、助成先高校の生徒4万8000名へのアンケート、教員へのヒアリングによる分析に基づく研究レポート「心のエンジンが駆動するとき」を6月29日に発表した。
同財団では、探究型学習を「自ら課題を発見し、解決策を考え、行動する」能動的で創造性豊かな次世代人材を育成するための重要な取り組みと捉えている。また、そうした学びを通じて学び手の意識と行動に変化が起こることを、「心のエンジンが駆動する」と表現している。
今回、取りまとめられた研究レポートには、心のエンジンがどんなときに駆動するのかを考察し、それを可能にするためには何が必要なのかについて、国や教育委員会をはじめ、企業や社会人など幅広いステークホルダーへの提言が含まれる。
同レポートでは、「心のエンジン」の「着火」ポイントを興味・関心、行動・実践とし、具体的には以下のような内容を挙げている。
- 心のエンジン駆動を偶発的に刺激するさまざまなプログラム
- 「本気の大人」や社会課題の「現場」と出会える機会
- 教科学習や進路指導も含めた全面的な探究化
また、「心のエンジン」の「持続」のポイントを納得・承認とし、以下のような内容を挙げた。
- 探究的な学びのための土壌づくり
- 教員が「教える・指導する」ことを手放す
- 学年を越えて学びあう仕組みづくり
これらを受けて、以下のように提言している。
- 高校世代の教育に対する、資金面を含むリソース投入の充実 ~特に、教育活動費が現場に行き渡ることが重要
- 「心のエンジンの駆動」に関するグッドプラクティスの再現・横展開 ~高校での体制づくり、効果的な財政支援など
- 高校での「心のエンジンの駆動」を加速するための基盤的環境の整備 ~教員の働き方改革、教員の研修機会の充実、高大接続強化など
- 主体的に考え未来を創る人材の育成を ~学校は地域に自らを開き、地域も学校に入っていく。教育に社会全体で取り組む
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