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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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個別最適・協働的な学びを実現する「教育向けアプリ」導入のススメ

教育向けアプリを自治体で導入するには? 長野県池田町「Canva for Education」導入事例を紹介

個別最適・協働的な学びを実現する「教育向けアプリ」導入のススメ 第2回

 GIGAスクール構想による1人1台端末の配備により、さまざまなアプリやツールを活用した、個別最適かつ協働的な学びを実践しやすくなりました。無償・安価で使える学校向けのアプリも普及しており、すでに多くの実践が発表されています。一方で「自治体の方針によってブロックされているためアプリを使えず、授業が実施できない」といった声も現場からは上がっています。前回の記事では、長野県池田町で教育ICTのアドバイザーを務め、オンラインで使えるデザインプラットフォーム「Canva」の認定教育者でもある清水智さんから、教育委員会や学校の管理職の方々に向けて、教育向けアプリ・ツールを活用することのメリットと、導入時のポイントをお伝えしました。今回は池田町が「Canva for Education」(教育向けCanva)を、自治体全体で導入した際の事例をご紹介いただきます。(編集部)

なぜそのアプリが必要なのか? 導入によるメリットを整理して説明

 私がCanvaと出会ったきっかけは、個人的に書いている「note」のヘッダー画像作成でした。

 当時私は、自分のブログやSNSで使うヘッダー画像を手作りできるツールを探しており、その中でCanvaというWebアプリを知りました。最初は「こんなにオシャレなデザインが自分でも作れるのか?」と疑いを持ちましたが、実際に使ってみると、簡単な操作で高品質なデザインが作成できることに感動しました。

 そして私はCanvaが教育現場でも使えると考え、導入に向けて動き出しました。Canvaに限らず教育現場で新しいアプリなどを導入する場合は、それによるメリットを明確に示す必要があります。そこで、長野県池田町教育委員会に以下の3つの提案を行いました。

1.縦書きができる

 池田町では「Google Workspace for Education」を導入しているものの、「Googleドキュメント」では縦書きができないため、先生方が戸惑うことがありました。Canvaを利用することにより、子どもたちはChromebookで「縦書き」も「横書き」もできるようになります。

 小学6年生・家庭科「持続可能な社会づくり」では、Canvaのロゴメーカーを活用し、自分たちの生きる未来への思いを言語化しました。

小学6年生・家庭科「持続可能な社会づくり」での活用
小学6年生・家庭科「持続可能な社会づくり」での活用

2.動画編集ができる

 コロナ禍で参集形式の行事が行いにくかった当時、Chromebookを使った「動画撮影」は学校現場で非常に重宝されていました。Canvaを使うことで、編集も同じ端末でできることや、長野県教育委員会がキーワードとして大事にしている「共同編集」が可能なこと、さらには閲覧専用のリンクを発行できること、そして何より「動画」という児童生徒の表現ツールが生まれることは、Canvaを教育現場へ導入する大きなメリットになると考えました。

 小学6年生の卒業ムービー制作では、自分たちで素材集めから編集までを行いました。一人ひとりに配付されているChromebook「だけ」で、共同編集&シェアまでできてしまうのもCanvaの特徴のひとつです。

小学6年生による卒業ムービー
小学6年生による卒業ムービー

3.素材利用の自由度が高い

 無料版でも30万点、Canva for Educationであれば1億点以上の素材の利用が可能です。そして、その素材の多くが著作権フリー(Canva for Education向けの素材は商用利用不可)となっているので、外部への発信にも気軽に使えます。何よりも、プロのデザイナーの方々(国内だけではなく世界中のCanva専属デザイナーのみなさま)が作る素材ですので、クオリティの高さは抜群です。

 また、国内外のデザイナーの方々が手掛けるだけあって、プライド月間や、ハロウィン、クリスマスなど、自由に使える素材の幅がとても広いということは、児童生徒にとっては大きなメリットです。

 このように、導入を推進する人はアプリやサービスがもたらすメリットのほか、そもそもどのようなものなのかについても、教育委員会関係者や学校の管理職・先生に理解してもらえるよう、しっかりと説明することが重要です。

 Canva for Educationを自治体単位で導入した日本初の事例である池田町においても、最初の説明に関してはかなり慎重に行いました。Canvaがもともと教育系のアプリではないことを踏まえつつ、一方で教育的効果を期待できるということを、私自身が作成した教材や実践事例を通して説明しました。導入当初は私が紹介した実践をもとに皆さん手探りで活用されていましたが、現在はSNS等を通して池田町におけるCanvaの教育実践例がたくさん取り上げられています。

 なお、自治体や学校単位でのCanva導入を検討されている方は、Canva教育者グループ内のデータもぜひご活用ください。「Canva-for-Education(日本教育者グループ運営サイト)」内には、導入検討時に使用できる資料や動画データなどがいくつも用意されており、Canvaが教育現場でどのように使われているか、また、どのような教育効果が得られるかについて、たくさんの情報が提供されています。Canvaを教育現場で活用する際の参考になれば幸いです。

Canva for Educationの教育機関向け概要資料
Canva for Educationの教育機関向け概要資料

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すでにある実践事例を紹介し、教育的効果を明確にすることが大切

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この記事の著者

清水 智(シミズ サトシ)

 Teacher Canvassador(一社)エンターキー教育ICTコンサルタント  元東京都公立小学校主幹教諭。都内&小笠原諸島父島での公立小学校勤務から長野県白馬村へ移住。長野県内で公立小学校講師と白馬エリアを中心とした教育ICTのアドバイザーも(小中学校・自治体教育委員会など)務める。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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