帝国データバンクは、「放課後等デイサービス(放デイ)事業者の倒産動向」について行った調査・分析結果を2月11日に発表した。同調査は、1月1日~31日の期間の、負債1000万円以上法的整理による倒産を対象に行われている。
同調査によれば、「放課後等デイサービス(放デイ)」運営企業の倒産は2022年に14件発生し、前年の6件から2倍超に急増した。民間企業が本格的に参入し始めた12年以降、最多を更新している。
放課後等デイサービスは、何らかの障がいを抱える6~18歳までの子どもが利用可能な福祉施設で、夏休み・冬休みなどの長期休暇等で利用できる施設を指す。2012年の児童福祉法改正以後、支援が必要な子どもの増加を背景にニーズが拡大し参入する企業が相次ぐ一方で、営利目的に走る施設の増加が問題視されたことから、2018年にサービスの質を上げる目的で報酬改定が行われた。
報酬改定が行われた結果、利用者獲得競争が激化していた上に、有資格者の人員配置やサービス面で課題のあった企業では報酬が減額され経営が行き詰るケースが増加した。さらに収益を重視したことにより、利用者や職員数などを水増しした不正請求などが発覚し、事業継続を断念したケースも増えている。
これまでに倒産理由が判明した放課後等デイサービス事業者29社のうち、利用者の低迷が原因となった倒産(34.5%)がもっとも多かった。一方で、水増し請求のほか不適切な職員配置などに起因した施設内の怪我やトラブルが原因で行政処分を受けた「法令違反」による倒産も31.0%に達しており、ずさんな経営体制により事業継続が立ち行かなくなったケースも多くみられる。
帝国データバンクでは、2024年の法改正によって子どもの障がい特性を踏まえた適切な発達支援を促さない放課後等デイサービス事業者は、公費による支援対象から除外される見通しであることなどを踏まえて、質の高い支援やサービスが提供できない放課後等デイサービス事業者の淘汰が、さらに進む可能性があるとみている。
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