ECCが運営するICT教育技術研究所は、音声認識技術に関する特許を2022年12月16日に取得した。
同社が特許を取得したのは、日本人(日本語母語話者)特有の英語の発音を聞き分けられる音声認識技術およびそれを基に対話を組み立てられる人工知能(AI)の開発により、習得途上の語学学習者の音声を正確に認識できる語学学習用装置・プログラム。
日本人が英語を苦手とする理由のひとつに「話さないから話せない」ということが挙げられる。「間違っているかもしれない」「ネイティブのように発音できない」という恥ずかしさや「不慣れな言語では思ったことを適切に伝えられない」という不安から「話さない」ということが考えられる。また「話す」経験を積めないことが英会話の上達を阻害している要因にもなっている。
こうした背景から同社は、多くの人が手軽に英会話を学習できる環境の実現を目指し「間違えても恥ずかしくない」「実利用シーンで学ぶ」「自分が話したい内容に近い発話練習ができる」といった要素を備えた英会話シミュレーター(アプリ)の開発をスタートさせた。
音声対話システムの課題と開発のポイント
音声認識や音声対話の技術を使用することで、英語で疑似的に対話するシステムの構築は可能である一方、従来の技術はおもに母語での利用が想定されているため、発音が正確でない語学学習者の発話をその意図通りに認識することは難しいという課題があった。「正確に発音しないと基本的な会話がかみ合わない」となると、発話者の会話や学習へのモチベーションは低下する。
前述した多くの語学学習者が手軽に学習できる環境づくりのためには「たくさん話すこと」「モチベーションの維持」が重要となる。正確な発音よりもまずは「不完全でもよいから幅広い内容について量的に十分話す経験をする」ことが重要だと同社は考え、語学学習者の不完全な発音でも意図をくみ取りながら会話を成立させられる音声認識技術の開発に至った。
特許技術を実装したアプリ「おもてなCityへようこそ!」
「おもてなCityへようこそ!」は、今回特許を取得した音声認識技術を使用し、日本人特有の英語の発音を聞き分けて対話を組み立てられる人工知能(AI)を搭載した対話型英会話アプリ。「まるでリアルシーンで会話しているかのような自然なコミュニケーション」をアプリ上で疑似体験できる。
かるた取りのように問題を聞きながら正解の単語を選ぶ単語学習「瞬間タッチ」や、教科書に沿った学年別コンテンツで会話をシミュレーションできる「会話シミュレーション」など豊富なコンテンツを取りそろえ、ゲーム感覚で英語・英会話を自学できる。
同社では、2021年9月より「ICT学習」と「個別最適化」の実現に向け学校をサポートすると同時に、児童生徒の英会話力向上を目的として同アプリの学校現場への導入を進めている。学習内容は学習指導要領に準拠し、小中学校の授業で活用しやすい学習ツールとなっている。同アプリでは、ゲーム要素を盛り込むことでモチベーションを維持した英語学習が可能で、また「会話」だけでなく「単語」「文法」の要素も楽しく習得できる。教員は管理画面で児童生徒の学習状況や学習結果を把握でき、児童生徒への適切な対応ができるようになる。
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