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GIGAスクール構想で変わる学校の姿

1人1台端末の活用が進む授業のあり方とは? 具体的な活用場面を考える

GIGAスクール構想で変わる学校の姿 第1回

 GIGAスクール構想がスタートしたことで、教育はどのように変わっていくのでしょうか。筆者は教育委員会事務局の指導主事として、GIGAスクール構想におけるICT教育の推進や授業改革を担当しています。この連載では「GIGAスクール構想で変わる、学校の新しい姿」を読者の皆さまと一緒に考えていければと思います。第1回では「授業での具体的な端末の活用方法」について取り上げます。(※本稿の内容は著者の一意見であり、組織の考えではありません)

行間を読んでみると……

 本を読んでいて「あ、こういう意味だったのか」と気づいた経験はありませんか。同じ文章を何度も読んで、初めて気づくこともあります。これは、行間を読むこと、と言えそうです。行間を読むとは「文章には直接表現されていない筆者の真意をくみ取ること」(『デジタル大辞泉』(小学館)より引用)という意味です。

 今回は「令和4年度全国学力・学習状況調査 学校質問紙調査」について、記載されている質問の「行間」を読みながら、そこに込められたメッセージを考えます。

 本年度の調査の中には、次のような質問がありました。

  • 質問番号(60)調査対象学年の児童が自分で調べる場面(ウェブブラウザによるインターネット検索等)では,児童一人一人に配備されたPC・タブレットなどのICT機器をどの程度使用させていますか。
  • 質問番号(61)調査対象学年の児童が自分の考えをまとめ,発表・表現する場面では,児童一人一人に配備されたPC・タブレットなどのICT機器をどの程度使用させていますか
  • 質問番号(62)教職員と調査対象学年の児童がやりとりする場面では,児童一人一人に配備されたPC・タブレットなどのICT機器をどの程度使用させていますか
  • 質問番号(63)調査対象学年の児童同士がやりとりする場面では,児童一人一人に配備されたPC・タブレットなどのICT機器をどの程度使用させていますか

※出典:文部科学省 国立教育政策研究所「令和4年度全国学力・学習状況調査 小学校調査 回答結果集計[学校質問紙]全国(地域規模別を含む)-学校

 これらの質問には「これらの場面で、子どもが端末を活用できるようにしましょう」という大事なメッセージが込められていると私は捉えています。

 つまり、次の4つの場面で子どもが端末を活用できるように指導することが重要です。

  • 調べる場面
  • 自分の考えをまとめ、発表・表現する場面
  • 教員と子どもがやりとりする場面
  • 子ども同士がやりとりする場面

 「端末をいつ活用すればいいかわからない」と悩まれている先生は、まずはこの4つの場面で活用してみてはいかがでしょうか。

 では、それぞれの場面で具体的にどう活用すればいいか考えてみましょう。

具体的な活用シーン「調べる」「教員と子どもがやりとりする」

調べる場面

 よく「授業で子どもたちが、何でもすぐに調べようとしてしまい困っています」といった相談を頂きます。果たして「調べる」ということは本当にダメなことなのでしょうか。

 現在、インターネットでの検索は非常に進化しています。スマートフォンやAIスピーカーに話しかけるだけでも簡単に検索でき、いろいろな情報を得ることができます。

 私たちは仕事や勉強をする際、わからないことがあった場合にどうしているでしょうか。恐らく、誰かに聞いたり、本で調べたり、インターネットで検索したりしているはずです。そうすることで、足りない知識や情報を補うことができます。

 これは、授業でも同じです。ただ調べることだけを目的にした学習ではなく、課題解決のために調べるという手段を活用するのです。その際、次の2つの点が重要となります。

  1. 辞書を引くように、端末をいつでも使えるようにすること
  2. 取り組む課題のレベルを上げること

 1. については、これまでの連載でも度々触れてきた通り、教員が許可した場合にのみ、端末を使える環境ではいけません。子どもが自分で端末を使うタイミングを選べるようにすべきでしょう。その上で「わからないことがあったら調べてごらん」と、声かけを続けていきます。

 すると、辞書を引くのと同じように端末を使うことができます。もちろん、インターネットなどから得た情報が正しいものかどうかを見極める力をつける必要はあります。情報モラル教育についても、教員が日々の授業で指導を続けていきましょう。

 そして特に重要なのが2. です。調べるとすぐに答えがわかるような課題だけでなく、調べて得た情報を活用できる課題を設定することで、端末はより威力を発揮します。情報を組み合わせる課題をどう作るか、そこに教員の力が問われています。

教員と子どもがやりとりする場面

 教員と子どものやりとりでは、「Microsoft Forms」や「Googleフォーム」などのアンケートアプリの活用がオススメです。

 例えば、授業の振り返りの場面で活用してみるのはどうでしょうか。子どもたちが端末を使って、振り返りを入力できるようにします。項目は「今日の授業でわかったこと・できるようになったこと」や「今日の授業でわからなかったこと・もっと知りたいこと」などがよいでしょう。

 これまでの紙の振り返りシートは、授業中に書かせて、回収する必要がありました。端末を使うことで、休み時間でも入力ができるようになり、授業の最後に急いで書いてもらう必要がなくなります。

 また、アンケートアプリで入力されたものは、すぐに結果を共有することができます。例えば「○○に賛成か、反対か」といった内容について、クラス全体の意見を知りたいとします。これまでは、手を上げてもらって教員が数えたり、投票してもらったりしていました。アンケートアプリを活用することで、子どもたちの回答結果を電子黒板などを使って瞬時に表示することが可能です。その結果をもとに、さらに学びを深めていくことができます。

 ぜひ、アンケートアプリを使って、教員と子どものやりとりを充実したものにしていきましょう。

次のページ
具体的な活用シーン「子ども同士のやりとり」「自分の考えをまとめて発表」

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この記事の著者

吉岡 拓也(ヨシオカ タクヤ)

 神戸市教育委員会事務局教科指導課指導主事。神戸市立高等学校での勤務を経て、現職。  モットーは「委ねる、つなげる、挑戦する」。子どもから、先生から、学ぶことを楽しむ。  神戸市立の学校園に足を運び、GIGAスクール構想における授業・学校改革を支援している。  主な著書に『GIGA...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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