経済産業省が実施した「社会人基礎力」に関する調査
社会人になる際に必要な力を確認するにあたり、経済産業省が平成21年度に行った「大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査」を参考にします。この調査によると、学生自身は十分にできていると考えているにもかかわらず、企業が足りないと考えているのは「チームワーク」と「コミュニケーション」に関する要素でした。もう少し詳しく見ていきましょう。
同調査からは、企業・日本人学生ともに「人柄(明るさや素直さ等)」「コミュニケーション力」を必要な能力要素だと考えていることがわかります。また「業界に関する専門知識」が必要であると考えている学生が一定数いるのに対し、企業側はあまり必要だと考えていません。一方で「一般常識」については、多くの企業が必要だと考えているものの、必要だと考える学生は多くありません。
学生に足りない能力要素
企業側は学生に対し、「主体性」「粘り強さ」「コミュニケーション力」といった内面的な基本能力の不足を感じています。それに対して学生は、技術・スキル系の能力要素が自らに不足していると考えています。特に「主体性」「コミュニケーション力」については両者の認識の間に10%以上の差があり、学生は「コミュニケーション力」について、自分には十分身についていると考えていることがわかります。多くの学生にとってコミュニケーション力とは、すでに身についているので向上させる必要がないものと考えられているのです。
その一方、矛盾するようですが、社会人になるにあたり不安に思うことを問う質問では「社内(同期・先輩・上司)や取引先等との人間関係」や「精神面(モチベーションを維持できるか)」と回答する日本人学生が多くいます。
企業が評価する人材
人事担当者が「自社で活躍している若手に共通する能力」として挙げていることは、「コミュニケーション力」「人柄(明るさ・素直さ等)」です。この結果からも、働く際にはコミュニケーション力が大切であると、企業側が考えていることが垣間見えます。おそらくこれらの要素には、社内でのチームワークや取引先との人間関係を構築する力が含まれていると考えられます。