NECは、海陽学園 海陽中等教育学校へ、パッケージ化による短納期導入と決済金額に応じた従量課金でコスト最適化を実現した「顔認証決済サービス」を提供することを、8月22日に発表した。
本サービスは、生徒・教職員約600名がさまざまな物品を頻繁に購入する構内の売店において、今年10月より運用を開始する予定。本サービスの導入により、手ぶら・非接触での買い物を実現する。同校以外の国内の教育現場で、生徒や教職員を対象に本格的な商用利用として顔認証決済を導入した例は初めて(2022年8月22日時点、NEC調べ)となる。
同校は、トヨタ自動車、東海旅客鉄道、中部電力をはじめ、80社以上の企業が賛同して2006年に設立された中高一貫校。寮生活を通じて人間力を磨くことを目標に全寮制としており、トラブル回避の観点から生徒には現金を持たせず、校内での買い物には決済用ICカードを持たせて運用していた。
一方で、独自の決済システムを保持しているため運用維持にかかる負担が大きいことに加え、生徒が決済用ICカードを紛失するなどの課題があり、これらの対策の一環として2021年に顔認証決済に対応した自動販売機を設置した。
今回、手ぶらで買い物ができるシーンを広げることで利便性のさらなる向上を図るとともに、「次代のリーダーを育成する」という学園方針のもと、より多くの生徒に「顔認証」という最新技術に触れることで創造力を醸成してもらいたいとの想いから、本サービスの採用を決めた。
本サービスでは、生徒本人と保護者同意のもと、生徒の顔写真や決済と紐づけるプリペイドカードなどの情報を事前にシステムへ登録。一度登録すれば、売店レジに設置したタブレットで本人が認証でき、商品を購入する際にマスクをしたまま非接触かつ手ぶらで決済が可能になる。
購入商品などの情報は登録したメールアドレスへリアルタイムに配信されるほか、保護者にはメールが届く。これにより、生徒の学校と寮の生活の様子を知ることができ、離れて生活する家族間のコミュニケーションのきっかけにもなる。
本サービスの特徴は以下の通り。
1.パッケージ化による導入の容易性
短期間でDXを実現するDXオファリングメニューとして整備し、パッケージプランとして今年7月より提供を開始した。従来は個々の要件に応じてシステムを構築・提供していたが、本サービスを利用することで顔認証決済をスピーディーに導入することが可能となる。また、サービス価格は決済金額に応じた従量課金制でコストを最適化できるため、スモールスタートから大規模利用まで幅広く対応できる。
なお、NECのDXオファリングメニューとは、顧客の課題解決に必要な製品・サービス構成、全体価格、契約、納品や運用保守の役務などを定型化したもの。
2.サービスの拡張性
NECのDXオファリングメニューの共通基盤である「NEC Digital Platform」を活用し、顔認証による入退サービスなどNECの各種サービスのシームレスな提供が実現する。生体認証を共通IDとして複数のサービスと連携することで、新たな顧客体験・サービスを創出できる。
3.NECの「Bio-IDiom」を活用した顔認証技術とプライバシー保護
NECの生体認証「Bio-IDiom」の中核技術である顔認証技術を活用している。また、事前に登録する顔認証データに対して変換関数(鍵)を用いて変換した状態で認証する、キャンセラブル生体認証を実装。これにより、万が一登録した顔認証データが漏えいした場合でも、変換に用いる鍵を変更することで漏えいした顔認証データを無効化することが可能になり、プライバシーの保護とセキュリティを担保する。
NECは、顔認証決済を通じてさまざまな領域の顧客に新たな価値を提供するため、今月よりNECの「顔認証決済サービス」と連携した商品開発をするパートナー企業や販売パートナー企業の募集を開始する。
- 関連リンク
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア