大人も楽しいテクノロジーを、子どもたち一人ひとりに――テックパークの取り組み
――まずは、テックパークが取り組んでいることを簡単に教えていただけますか。
佐々木久美子氏(以下、佐々木):簡単に言えば、学童保育ですね。小学生向けのアフタースクールですが、お父さんお母さんが働いていて、どうしてもという場合には5歳からお預かりしています。
取り組みとしては、デザインやプログラミングなど、ITについての学習をメインとしていますが、学校で教えるようなプログラミング教育を意識してやっているわけではありません。私たちがエンジニアとして楽しかったことや楽しんで学べたこと、今も楽しんでいることを、子どもたちにもリアルに遊びながら触らせる意識です。大人がやっても楽しいものをやる、といった感覚ですね。あとは、みんな一緒に1つのことに取り組む場合もありますけど、スタッフが一人ひとりの興味を見て、個々に合ったものを学んでいくのが基本です。今日はマインクラフトが好きかもしれないけど、次の日は違う。小さな子はパズルで遊んでもらうなど、臨機応変に対応しています。
――最近はそういった進度別の学習、アダプティブラーニングが注目されていますが、まさにそこもやられている。
佐々木:そういった流れがあるからやっているわけではなくて、子どもたちの興味に合わせてスタッフが動くという感じです。何に興味があるかは本当にそれぞれなんです、子どもって。プログラミングが大好きな子もいれば、できたもので遊ぶのが得意な子もいるし、できたプログラミングをチェックするのが得意な子もいます。なので、こちらが全て用意したものをやらせることはありません。みんな一斉に教えて同じことができるなんてあり得ないので、一緒に作り上げるっていう形にしています。また、誰かが取り組んだものを他の子が興味を持って「あれやりたい!」みたいなことがあるので、そうやって誰かが作ったゲームをやらせることもあります。それをうちのエンジニアが見守っている感じです。
――現在、どれくらいの会員がいらっしゃるんですか。
佐々木:週1で来る子もいれば週5の子もいて、皆さんそれぞれです。月でコンスタントに来るのは大体15人ぐらいですね。一番人数が増えるのはサマースクールとウィンタースクール、それにスプリングスクールの開講時ですが、その時期は毎日30人ぐらいずつお預かりしています。延べで言うと、サマースクールだけで500~600人ぐらいの子たちをお預かりしたという形です。
――大変な人数ですね。入会する条件は設けていますか。
佐々木:不特定多数ではなくて、やっぱりコンピュータが好きな子に来てほしい。テックパークは、今話題のSTEM教育やプログラミング教育に対応するためではなく、将来につながるような技術、私たちエンジニアが実際にやっていることをリアルに伝えるといった趣旨でやっています。私自身、この業界に入って、誰かの問題を解決しようと必死になれるのは、「好き」という前提があるからだと気づいたんです。そうでなければ、毎日勉強して新しい知識をキャッチアップしていかなきゃいけない大変さは乗り越えられない。
なので、入会の際は必ず説明会に来ていただき、その趣旨を分かっていただいて、体験会や面談でお子さんを見せていただいて、お互い納得できたら入っていただく形にしています。もちろん、コンピュータが好きな子にはとにかく来てもらいながら、コンピュータが好きかどうか分からない子も、取りあえず試してみて興味を持ってもらえるような活動をするという、2つの方針でやっています。