矢野経済研究所は、分野別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにすべく実施した、国内のデジタル教育コンテンツ市場に関する調査の結果を4月7日に発表した。
調査結果によれば、2021年度のデジタル教育コンテンツ市場規模(「映像授業」「デジタル教材」「授業・学習支援ツール」3分野の合計)は、前年度から19.4%増の555億円を見込んでいる。
同市場は、新型コロナ禍での学びの継続への対応として、公教育・民間教育ともにICT環境の整備を急加速で進展させた結果、2020年度から大幅な拡大傾向で推移。とりわけ公教育におけるGIGAスクール構想の前倒しと、それにともなうEdTech導入補助金の交付が市場拡大に大きく寄与した。一方で、GIGAスクール構想の前倒しによる特需は、同市場を大きく拡大させたものの、事業者間での競争の激化や、学校現場におけるデジタル教育コンテンツの運用に関する課題なども生じている。
小中学校における学習者用端末の整備は、急速に進展した一方で、その効果的な活用は多くの教育現場において教員のIT指導力不足や依然として不安を抱えるネットワーク環境といった課題がみられる。これらの課題に対して、関係省庁が連携しつつ各種施策を順次進めているものの、当面は効果的な活用に向けて学校現場における試行錯誤が続くと予想している。
2022年度も、EdTech導入補助金によって学校現場におけるデジタル教育コンテンツを活用した学習に対する環境整備が進められることや、学習塾・予備校でもデジタル教育コンテンツの導入・活用の活発化が進むことから、同市場は引き続き拡大する見込みとなっている。2022年度のデジタル教育コンテンツ市場規模は、前年度比14.4%増の635億円と予測される。
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア