「1人1台」のiPadを約3年間活用してきた6年生が発表
Open Dayは「今回は、児童が準備して児童が進行する、児童主体のイベントになっています」という6年生のあいさつからスタート。今回発表するチームとして、以下の6チームが紹介された。
- 洗足学園小学校の児童と、ICT教育についての「学校紹介チーム」
- iPadを使っている児童の1日に密着した「洗足の1日チーム」
- iPadを導入した頃からの成長を作品によって比べる「3年間の成長チーム」
- 長年iPadを使っている児童の本音がわかる「こんなこと思っていますチーム」
- iPadを使っている児童がほしい機能を紹介する「提案チーム」
- 児童と保護者へのアンケートの結果からiPadについての実情を紐解く「アンケートチーム」
続いて「校長先生のお話」として、吉田英也校長が登壇し、同校のICT活用の歩みについて語った。
「ICT化は5年ほど前から始めたものの、専門知識がある教員がいたわけではなかったので、試行錯誤しながらの取り組みとなった」と吉田校長は話す。2018年に当時の3年生から「1人1台のiPad」活用が始まった。その際、ほかの学年への導入も検討したが「せっかく導入しても使わないことは避けたい」との考えから、まずはひとつの学年からスタートした。
その準備段階として、導入の前年に「3年生のカリキュラム内で、どのような使い方ができるのか」を各教科で検討した。教科担任制のため、年度が替わって誰が担当になっても「この分野ではこの使い方をする」ことをあらかじめ決めていったという。
その後、加速度的に活用が進んだ結果、2020年度には他学年でも導入が始まり、現在は2~6年生が家庭で購入した自分専用のiPadを所有している。1年生は使い方に慣れるため、学校のiPadを貸し出す形をとっている。
「iPadの導入で学習スタイルが大きく変わり、児童を中心とした主体的、積極的、創造的な学習になった。最初に『1人1台』になった現在の6年生が3年の間でどのようにiPadを活用できるようになったのか、ぜひ児童の発表をご覧いただきたい」と話した。
続いて、教頭の赤尾綾子先生から、同校の教育とOpen Dayの趣旨が説明された。
全員が中学受験をする進学校としても知られている同校は、「社会に奉仕貢献できる人材・社会のリーダー」の育成を目指している。「ICTを教育の中で活用することにより、リーダーとして必要な思考力、チームワーク力、コミュニケーション能力、創造力の4つの力をつけることができる」と、赤尾先生は話す。
今回のOpen Dayは、6年生の「総合的な学習の時間」の一環として実施される。「これまでのICTの活用をふり返ることで、自分自身の成長を実感し、ICTとの関わり方を考えるだけでなく、発表の形で社会とのつながりを持たせる」目的があるという。
さらに、発表に先駆けて6年生の担任である野口さゆり先生からは、授業の目的・身につく力、Open Dayに向けた子どもたちの取り組みついて紹介があった。
今回の単元は「自分たちの学びを発信しよう」で、「自分たちの学びをふり返る」「学校の人に向けて発信する」「会の計画、準備、進行をする」という3つの目的をもって行った。
発表する6年生は全員が受験生ということで、受験勉強をこなしながらも、10時間の授業時間と休み時間を使い、Open Dayのプロジェクトを進めた。
最初に行ったのがプロジェクトメンバーの募集だ。1学年約80名のうち、23名が立候補したという。メンバーは休み時間に集まり、分担してテーマ設定を行った。
その後は、チームを決め授業としてプレゼン資料の作成がスタートした。その際、役に立ったのが、各教室に3台ずつ設置されているプロジェクターだ。各グループが決定事項を映した資料に書きながら進め、5月のオンライン授業時には、Zoomを使って打ち合わせを行った。リハーサルも児童自身で行い、教室で練習するだけでなく、実際に画面に映してのチェックもしたという。