COMPASSは、全国知事会の「これからの高等学校教育のあり方研究会」において、慶應義塾大学中室研究室が実施した「ICTを活用した教育・オンライン教育に係る効果検証」へ、同社が開発するAI型教材「Qubena(キュビナ)」を提供し、「Qubena」の活用による学力への効果検証を実施したことを、4月27日に発表した。
「これからの高等学校教育のあり方研究会」は2020年度に設置され、全国知事会として、公立高等学校等の設置者の立場からさまざまなテーマを設定し、幅広い議論を通じて高等学校教育のあり方を研究、必要な提言等を行っている。同研究会では、高等学校においても整備が進められているICT環境の有効な活用方法における検討のため、慶應義塾大学中室研究室によって「ICTを活用した教育・オンライン教育の効果検証」に係る実証事業が実施された。同社はこの実証事業で「Qubena」の提供および学校での活用におけるサポート等を行った。
実証では、数学の授業内で「Qubena」を使用するクラス(9クラス、637名)と、使用しないクラス(10クラス、340名)にランダムにふりわけ、ICTとAIドリルの利用が学力向上に資するかどうかを検証した。
その結果、「Qubena」使用クラスのほうが未使用クラスよりも、学力テストのスコアが約4.5%高い結果となった。この差は1%水準で統計的に有意な差であり、短期間の使用ではあるものの、数学の学力向上が見られたと考えられる。また、この効果は特に就学支援金受給世帯の生徒で大きく、「Qubena」使用クラスのほうが18.5%高い結果となった。この結果から、AIドリルの利用は保護者の経済状況による学力格差の縮小をもたらす可能性が示唆された。また、生徒の学習観の変化も見られ、介入群の生徒は「良い学習環境に身を置くことで勉強が身につく」という「環境志向」が統計的に有意に上昇していることもわかった。
実施概要
- 参加県市:宮城県・宮崎県・熊本市・長野県・三重県・島根県
- 対象:上記県市の公立高校8校の高校1年生637名
- 実証期間:2020年12月~2021年2月
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実施方法
- 授業において「Qubena」を活用し、生徒一人ひとりに応じた個別最適な学習に取り組む。さらに、各学校の状況に応じて、家庭学習で活用するなどの工夫を講じることとし、柔軟に活用する。
- 対象教科は数学とする(主な単元:三角比、データの分析等)。
- 効果については、2020年12月と2021年2月に学力テストを実施し、「Qubena」の使用クラスと未使用クラスの学力の伸びを測定すると共に、質問紙調査を行い、生徒一人ひとりの学習観や、授業への苦手意識・理解度等の変化等を把握する。
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