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ICT活用を推進する教員インタビュー

Google for Education の教育者コミュニティ「GEG」とは? 青森県弘前市から発信するICT活用

「GEG Hirosaki」リーダー 井上嘉名芽教諭インタビュー

 GIGAスクール構想によって、ICT環境の地域格差問題は解消されつつある。しかし、肝心の活用スキルについては、まだまだ学校や地域での格差が大きい。そうした中「ICT未開の地」と言われた青森県で、東奥義塾高等学校の井上嘉名芽教諭は、校内外で積極的にICT活用を推進し、4年間で150回以上の校内研修を行ってきた。さらに2020年秋には、地元のICT教育活発化を目指し、Google 教育者グループ「GEG Hirosaki」を設立した。今回は、GEG Hirosaki 設立のきっかけから、教員間のコミュニティのつくり方、地方からの情報発信などについて井上教諭に話をうかがった。

東奥義塾高等学校 ICTコーディネーター 井上嘉名芽教諭
東奥義塾高等学校 ICTコーディネーター 井上嘉名芽教諭

「ICT未開の地」と言われた青森県からのスタート

 2020年、青森県弘前市で Google 教育者のグループ「GEG Hirosaki」がスタートした。GEG とは「Google Educator Group」の略称で、Google for Education の活用を中心に「教室内外でテクノロジーを通して児童生徒のニーズを満たすため、互いに学び、共有し、影響し合う教育者のコミュニティ」だ。教育現場の先生や教育委員会など、教育におけるICT活用に関心のある人々が集まっている。2021年4月時点で、GEG は全国に51存在している。2019年には19だったが、コロナ禍によるオンライン化やGIGAスクール構想でのニーズから、2020年以降に続々と設立された。

北海道から九州まで、全国各地に設立された GEG
北海道から九州まで、全国各地に設立された GEG

 GEG Hirosaki のリーダーを務めるのは、青森県にある東奥義塾高等学校の井上嘉名芽教諭だ。井上教諭は「Google for Education 認定コーチ」のほか「Google for Education 認定トレーナー」「Adobe Education Leaders 2021」「ロイロ認定ティーチャー/シンキングツールアドバイザー」「Microsoft認定教育イノベーター」「Apple Teacher Swift Playgrounds」など、多数の資格を有し、同校ではICT活用を推進するICTコーディネーターを務めている。

 井上教諭の勤務する東奥義塾高等学校では、2016年からICT活用を推進しており、校務に「Classi」、2018年から授業では「ロイロノート・スクール」を活用。2019年からは生徒が購入する形でタブレット導入を開始し、2020年度には高校1年生全員が1人1台のセルラー版iPadを貸与され、活用している。

 校内の同僚を対象に、これまでに150回以上の校内研修を行ってきた井上教諭だが、意外にも情報科の担当となったのは、3年前からだという。「もともとは理科で教員免許を取得していましたが、途中から情報を教えたいと思い、通信教育で勉強をして免許を取りました」と、井上教諭はその経緯を語る。

校内研修から始まったICT推進

 井上教諭が GEG Hirosaki を始めた理由は、2つある。2020年度から「Google Workspace for Education」を導入した東奥義塾高等学校の先生をサポートする目的に加え、他校や他県の先生とつながりをつくるためでもある。

 「もともとICT活用の校内研修は多数行ってきていましたが、GEG を立ち上げることで、Google Workspace for Education のアプリを使ったオンライン教育の練習がしやすくなると思いました。特にコロナ禍の現在は、他県に出張に行くのもままならない状況です。しかし GEG を通じて、本校の先生がオンラインで他の学校や県とつながることができ、校内だけでなく校外の先生もサポートできると考えたのです」(井上教諭)

「GEG Hirosaki」のWebサイト
「GEG Hirosaki」のWebサイト

 GEG Hirosaki の活動は「Google 認定教育者」などの資格試験の対策が中心となっている。「Google for Education の資格試験のうち、『レベル 1』『レベル 2』では、実際の授業を模したような実技も出題されます。試験勉強や試験自体を体験することで、自然に操作を覚え、授業で実践できるスキルが身につきます。『Google Workspace for Education や Chromebook が学校に入ったものの、何から始めたらいいのかわからない』という初心者の方こそ、ぜひ挑戦してほしいです」と、井上教諭はその目的を解説した。

 GEG Hirosaki では、忙しい先生でも、合間に独学で学べるスライド教材が多数用意されており、メンバーはすべて無償で利用することができる。また、毎月開催されているオンラインイベントでは「Google サイト のつくり方」や「Google Jamboard を使ったプレゼンテーション方法」といった Google Workspace for Education の基本的な操作の解説をはじめ、授業や学校の業務ですぐに役立つ内容のワークショップが用意されている。

 「認定資格の1つである『Google for Education 認定トレーナー』に申請するには、5回の研修実績が必要です。このワークショップは、アプリの使い方を勉強したい人や、これから認定教育者の資格試験を受ける人のために行っていますが、同時に、認定トレーナーを志す人の実践研修の場にもなっています」(井上教諭)

 このように井上教諭が話す通り、講師と受講者、両方にメリットのあるシステムができ上がっている。

4月3日の GEG Hirosaki のオンラインイベントでも、Google for Education 認定トレーナーを志すメンバーによるワークショップが行われた
4月3日の GEG Hirosaki のオンラインイベントでも、Google for Education 認定トレーナーを志すメンバーによるワークショップが行われた

 また GEG Hirosaki では、活動を「Google Classroom」で行っていることも特徴だ。井上教諭は「学校で本番の Google Classroom を使う前にここで体験して、実際にさまざまなテストを行うことができます」と、その効果を説明する。

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「良いものを取り入れ合う」文化を持つGEG

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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