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イベントレポート(プログラミング教育)

プログラミングで作品を作った子どもたちがプレゼン大会! 「Kids Developer Pitch Spring 2017」レポート


 小学生向けプログラミングスクール「Tech Kids School」を運営するCA Tech Kidsでは、3月11日に子どもたちがプログラミング経験や自分で作ったアプリをプレゼンする「Kids Developer Pitch Spring 2017」を開催した。子どもたちはプログラミングとどう向き合っているのか、また保護者はどう感じているのか。気になるイベントをレポート。

 2013年から小学生向けプログラミングスクールを運営してきたCA Tech Kidsは、2017年春から秋葉原校を新たに開校し、カリキュラムをリニューアルすると発表。それを記念し、同社が運営するTech Kids Schoolに通う小学生4名、そして卒業した中学生2名によるプレゼンイベント「Kids Developer Pitch Spring 2017」が開催された。

 代表取締役社長の上野朝大さんは、生徒数が2016年春に開校当初の10倍、同年秋に20倍となったことを紹介。小学校でプログラミングを必修とする方針が発表された2016年に、社会的にプログラミング教育への関心が急激に高まったようだ(同社では『親子で楽しく学ぶ!マインクラフトプログラミング』を翔泳社から刊行)。

上野朝大さん
上野朝大さん

 本イベントの趣旨は、この3年半で子どもたちがどんなことを学んできたのかを発表するというもの。「テクノロジーを自分の武器として使いこなし、自分のアイデアを自分の力で実現できるようになってもらいたい」という同社のビジョンは、子どもたちにどのように伝わったのだろうか。

 保護者も見守る中で行われた子どもたちのプレゼンの内容をお届けする(※記事中の学年表記はイベント開催時点のもの)。

自分の作品がどう見られるのかを意識するように

 最初に登壇したのは小学3年生の澁谷知希さん。1年生で入学したばかりの頃は自分の好きな機能しかないゲームを作っていたが、最近は自分の作品が他の人に見られることを意識するようになったという。

澁谷知希さん
澁谷知希(しぶやともき)さん

 初めて作ったのは『生活ゲーム』。買い物や睡眠、お出かけなどを選択して体力が減らないようにするゲームだ。ただ、単純すぎてゲームという感じではなかったと反省。直近の作品『Rescue Bird』ではその経験を活かし、鳥型AIロボットが災害から人を救助するゲームに。セーブ機能を充実させ、条件や設定を考えて作ったため、人に見せられるゲームになったとのこと。

『マインクラフト』で遊ぶことも好きだが、プログラミングが楽しく、これからもゲームを作っていきたいと意気込んだ。

みんなが楽しめるゲームを作りたい

 小学4年生の高橋温さんは、元々ゲームが好きで、自分でも作りたいと思っていたという。ゲームを作るときは、最初にみんなが楽しめるゲームを考察。結果、シンプルな内容で、2種類くらいの操作だけにするといろいろな人が楽しめると考えた。

高橋温さん
高橋温(たかはしおん)さん

 そしてでき上がったのが『のびーる』という、虫を駆除しながら制限時間内に出来るだけ木を伸ばすゲーム。虫の強さ(種類)によって必要な攻撃回数と効果音を変え、出現率も変化させた。ゲームの背景も自分で描いたという。

 高橋さんは初めてのプレゼンでもじもじしていた頃の自分と比較。スクールに通うことで、プレゼン力が上がったことを強調した。また、最初はプログラミングに興味がなかったが、今ではわからないことがわかるようになることが楽しいそうだ。これからも面白いアプリや役に立つアプリを作りたいと締めくくった。

海外の人に日本の文化を伝えるゲーム

 同じく小学4年生の菅野晄さんは、学校の陸上クラブに所属し、放課後はクラブチームでサッカーをするほどのスポーツ好き。姉の楓さん(のちほど登壇)に憧れてプログラミングを始め、今ではスポーツと同じくらい好きになったという。

菅野晄さん
菅野晄(すがのひかり)さん

 最初にScratchで作ったのが『日本地図ゲーム』。都道府県名と特産品から、その場所を当てるゲームだ。また、ロボットを動かす命令も作った。次にJavaScriptによるWebアプリ開発を学び、『石とりゲーム』を制作。最後の石を取ったほうが負けというゲームで、取った石の画像を変えているところを工夫したとのこと。

 さらに2作、『五色百人一首』と『回一首(まわりっしゅ)』を制作。いずれも遊びながら百人一首を覚えられるゲームで、前者は自分で詠んだ歌をコンピューターが再生してくれるので1人で百人一首ができる。後者は回転しながら迫ってくる歌の一文字一文字を避けるゲームで、もちろんBGMは自分が詠んだ歌である。

 菅野さんは「プログラミングを利用することで学校の勉強が楽しくなる」「これらのゲームで海外の人に百人一首を紹介したい」と語った。次は3Dプリントに挑戦したいそうだ。

夢はゲームプログラマー

 小学2年生のとき、自分でゲームを作ることができると教えられてびっくりしたと言うのは、小学6年生の加藤潤成さん。ゲーム開発ツール「GameSalad」で初めて作った『モグラたたき』をどんどん発展させてきたというのが非常にユニークだ。

加藤潤成さん
加藤潤成(かとうじゅんせい)さん

 ver.1では乱数でモグラの位置を決めた。ver.2ではJavaScriptで開発。ver.3では「ステージ」を追加。ver.4では「点数の増加率変化」を追加し、いつも同じポイントが得られるだけではなくなった。ver.5では「ランキング」を追加し、ver.6ではObjective-CでiPhoneアプリとして制作した。

 そして最新のver.7『モグラたたきVII』ではコインが獲得できるようになり、制限時間の延長やポイントを多く獲得できるようになるアイテムを購入するショップを実装した(ちなみにver.8もほぼ完成済みだが、もっと改良したいとのこと)。まさに「ゲームのアップデート」だと言える。

 加藤さんはプログラミングの楽しいところとして、制作すること――頭の中で考えたことを実現できること、改良すること――自分で作ったゲームを自分で成長させていくこと、共有すること――一緒に遊んだりフィードバックをもらったりすることを挙げた。夢はゲームプログラマー。これからもゲームはもちろん、日常が便利になるアプリを作りたいと話した。

子どもたちによるパネルディスカッションの様子
子どもたちによるパネルディスカッションの様子

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人の役に立つものを作っていきたい

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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