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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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教育現場でのICT活用事例紹介(高等学校・高等専門学校)(AD)

公立高校でゼロからICT教育を実践した先生が解説! プロジェクターを活用した授業の可能性

 全国の休校にともなうオンライン化とGIGAスクール構想により、学校のICT化が急ピッチで進んでいる。1人1台のコンピューターだけでなく、学校の各教室に大型スクリーンやプロジェクター、電子黒板などの導入も進む。その中でも「現場の先生から『プロジェクターをさらに活用したい』などの問い合わせが多い」と話すのは、EdTechZineの人気連載「ゼロから始めてここまでできる! 公立高校でのICT教育実践」を執筆する浅見和寿さんだ。浅見さんは、これまで公立高校においてICT機器を取り入れた授業を実践し、担当する国語でプロジェクターを活用した授業行ってきた。そんな浅見さんに、改めて授業でプロジェクターを使う際のポイントを伺った上で、今回はBenQの教育向けプロジェクター「EW800ST」を実際に使っていただき、使用感を聞いた。

浅見和寿さん。公立高校でプロジェクターを使った授業を実践してきた。
浅見和寿さん。公立高校でプロジェクターを使った授業を実践してきた。

「板書時のロスをなくしたい」から始まったICT

――EdTechZineでの連載「ゼロから始めてここまでできる! 公立高校でのICT教育実践」が大変好調です。浅見さんは早くから高校でICTを活用した授業を実践してこられたのですね。

 はい。現在は行政に出向しておりますが、昨年度まで公立高校の国語の教員として、10年近くプロジェクターなどのICT機器を使いながら、授業を行ってきました。

――どのようなきっかけでICT機器を授業で活用することになったのですか?

 教員として駆け出しのころは、かつて自分が受けた授業をトレースして行っていました。すると、自分が生徒のときには意識していなかった「先生は何度も同じ内容を板書している」ことに気付いたのです。

 そして「板書中に何を考えているのか」、その視点や思考について生徒に直接聞いてみました。すると、「先生に隠れて見えないから板書が終わるまで待っている」「指示がなければ何もしてない」といったことがわかったのです。そこで、生徒が死角なしにずっと黒板を見ることができ、ロスがない授業の方法は何かないか……と考えて、ICTが持つ力の必要性にたどり着いたのです。

プロジェクター導入で授業がスピードアップ!

――プロジェクターを使って大きく変わったことはありますか?

 まず、圧倒的に授業スピードが変わりましたね。ボタン1つを押すだけですぐ説明に入れます。私が黒板に書く時間がなくなり、生徒を見ている時間が圧倒的に多くなりました。結果として、生徒が寝たり内職したりしなくなりました(笑)。

――先生がずっと見ていることで、生徒も受け身にならず、主体性を持つようになりそうですね。

 そうですね、その部分はすごく変わりました。生徒からも「先生に隠れて板書が見えないということがなくなった」と、好評でした。

――国語の授業では、具体的にはどのように活用されているのでしょうか。

 1つは、本文や解説をPowerPointで作るスタイルです。解説をアニメーションで作っておくと、「ここは四角で囲むんだよ」と話しながらボタンを押すと文章が四角で囲まれる。資料はすべてPowerPointでも作成できますが、私は少し手書きの部分も入れないと熱量が伝わりにくいと思っています。ですので、プロジェクターで映す部分と、手で書きこむ部分を分けています。

手で書き込む部分をあえて残す。
手で書き込む部分をあえて残す。

――授業中、生徒がプロジェクターを使って発表することもあるとお聞きしました。

 はい。たとえば「この作品についてどう考えるか」といったテーマを考えてもらい、教室の前に出て発表します。生徒がGoogle Classroomに自分のデータをアップロードし、私がパソコンでそのデータをプロジェクターで映します。ページ送りは生徒のタイミングでできるように操作を教えて、生徒が自ら行っていました。

プロジェクター活用時に気をつけたい「3つのポイント」

――浅見さんがICT機器やプロジェクターを活用する際に気をつけていることは何でしょうか。

 対面の授業では3つあります。

 1点目は「文字の大きさ」です。どの教室でも、最後列の生徒まで見えることを必ず意識しています。2つ目が「」です。教室の場所によって、西日が差し込み見えづらくなることもあるため、遮光カーテンや暗幕の使い方が変わってきます。そういった意味での環境の整備は重要です。3つ目が、一番気をつけている「」です。以前、色覚に特性を持つ生徒に「浅見先生、いつも黄色と言っているけど、僕には黄色に見えません」と言われたことがありました。それ以降、色を調整して、誰にでも色が区別できる表現を心がけています。

――浅見さんの授業実践をうかがうと、かなり生徒からヒアリングしてる印象を受けます。

 私自身もパソコンやスマホが好きなので、ICT活用の授業づくりを楽しんでいます。ですが、実際に受けている生徒が楽しくなかったら、独りよがりの授業になってしまいますよね。生徒のニーズがどこにあるかといった点は大事にしているので、時には恥ずかしいこともありますが、聞いています(笑)。

――暗幕や色、距離などの注意点がありましたが、予行演習や場所を想定した検証は重要だと感じました。

 はい、慣れないうちは毎日のように検証していました。授業のたびに生徒にヒアリングして、「この教室はカーテンをこの位置まで閉めないといけない」とか「黒板の色が微妙に違うから投影資料の背景色も変えよう」といったことは、実際にやってみたり、生徒に聞いたりしないとわからないですからね。

 またPowerPointの操作も、常に教室の前で操作するだけではなく、一番後ろまで移動して話してみるなど、どの手法が最も効果的で生徒にわかりやすいか、試行錯誤を繰り返しています。

――たくさんの活用事例の中で、特に生徒の方々に好評だったのはどのような授業ですか。

 やはり映像を使った授業ですね。漢文や古文の授業で説明が終わって、その内容を改めてアニメーションで見た際に、「本文だけではよくわからなかったけれど、アニメーションなら情報や知識が相互にからみあって理解できた」と生徒が話していました。

 プロジェクターを活用すれば、教室移動の必要もなく、PowerPointで授業をしながら、さらに映像や音声も一緒に味わうことができます。生徒からも「教室移動なく授業を受けることができて良かった」と好評でした。

対話的な学びを実践するグループワークで威力を発揮

――「主体的・対話的で深い学び」の重要性が高まる中、グループ学習が改めて注目されています。学校現場において、これまでグループ学習はアナログなものが多かったのでしょうか。

 アナログですね。グループで集まって紙に書いたものを先生が集めてパソコンで入力したりスキャンしたりしたあとに印刷し、配布していました。ですが、ここ数年で変わりつつあり、生徒がその場で発表したものに対して、全員で共有できる状況が実現できています。

 授業中に「あ、この問題ってこうなんだ!」といった「アハ!体験」とでも言うべきひらめきを感じた際、教員が適切な言葉や助言を与えることができると、その生徒は飛躍的に伸びます。でも、問題を持ち帰って1週間後の授業で振り返るとなると、生徒から熱量がなくなっていることも多いのです。ですから、ICTの力でいかにタイムラグを減らすかといったことは重要です。

――模造紙を床に置いていた時代から、これからはプロジェクターを見て皆で意見を出し合いながら資料を作る時代に変わりそうですね。ちなみに、模造紙での発表と、プロジェクターを使った発表では、どのような変化がありましたか。

 模造紙による発表との比較では、情報量が圧倒的に違います。模造紙はがんばっても2枚ほどの量で、書いたものをそのまま説明する形です。一方、PowerPointなどのICTを使えば、たくさんの情報を短時間でアウトプットすることが可能です。

 さらに任意の箇所へ簡単に戻れるし、補足資料としてインターネットからの情報をその場で引用することもできます。たとえば、発表中に疑問が発生しても、すぐに参照して対応できるので、「それには答えられません」「準備できません」といったことが減っています。「僕たちもわからないので、ちょっと調べてみますか」と、即時性があることは大きなメリットです。

――プロジェクターの活用で先生の負担は減りましたか?

 負担は減っていると思います。ただ、これまでICTを活用していない先生は「授業中の負担が減るのはわかるけど、準備の負担は増えそう」とおっしゃることが多いです。使い方を覚えるだけではなく、事前に教材や資料を作る必要もありますから。

 私はPowerPointで資料を作っていますが、文字の大きさや色を工夫したり、アニメーションをつけたりしていると、それだけで何時間もかかってしまいます。「それなら手書きで毎日板書したほうがいい」という考えの方もいらっしゃいます。

――そういった先生に、ICTを活用するメリットをどう伝えればいいのでしょうか。

 先生によってさまざまな授業スタイルがあると思うので、手書きにこだわりがあれば、それもいいと思います。

 でも、「ICTを活用したいけど、ハードルが高くてできない」と考える先生に対しては、私の作った資料をデータでお渡しして、まずはそれを使って授業していただきます。そこで「あ、こんな風に活用できるんだ」と知っていただければと思っています。

――ゼロから資料やテンプレートを作るのは大変だと思うのですが、ある程度慣れてきたら、自分のスタイルが確立されてきて、資料づくりの作業時間も将来的には短縮できそうですね。

 その通りです! だから、まず第一歩を踏み出せれば、あとはもう流れでできるようになると思います。最初のハードルをクリアできたら、みんなが使えるようになると考えています。

浅見さんはPowerPointを活用して映像教材を作ることもあるという。
浅見さんはPowerPointを活用して映像教材を作ることもあるという。

――負担という観点では、生徒からの反応はどうでしょうか。楽になればなるほど、生徒としてはありがたいのかなと思います。

 生徒は「先生、全部ICTでやったほうがいいよ、楽だし」と言っていますね。私は、「国語の授業では使い過ぎてはいけない、文字を手書きで書かせたい」という思いもあるので、ICTと手書きのハイブリッド型で進めています。

 一方で、授業外のアンケートなどではスマホの使用を勧めることも多いです。以前、修学旅行の感想集を作成した際はGoogle フォームを使って、「1人400文字」で全クラスの文章を集めました。誤字脱字もありますが、360人分を短時間で集めることができたのは、やはりICTの力だと思います。

生徒の端末を使ってすぐ発表できるプロジェクター

 今回浅見さんに使っていただいたプロジェクター「EW800ST」は、DLPプロジェクターで世界トップシェアを誇るBenQが、教育機関向けに開発した短焦点モデルのDLPプロジェクターだ。BenQは、ブルーライトカット機能などを備えた子どものアイケアに配慮したモニター「GW2480T」を発売するなど、教育分野の商品にも注力している。

 短焦点レンズを備えた軽量でコンパクトな「EW800ST」は、投影距離が短く場所を選ばず映し出せるだけでなく、WindowsやiOS、AndroidなどOSを問わずにワイヤレスで接続できるのが最大の特長だ。また、パソコンに接続しなくてもUSBメモリーから直接ファイルを読み込むことができ、BenQのアカウント管理システム「AMS」と同期させることで、管理が容易になる機能も備えている。

BenQの短焦点DLPプロジェクター「EW800ST」。オープンプライスで、実売価格は11万8000円前後。
BenQの短焦点DLPプロジェクター「EW800ST」。オープンプライスで、実売価格は11万8000円前後。

――「EW800ST」は、コンパクトな短焦点レンズ搭載モデルで、OSに関係なくWi-Fiで接続することができます。授業で特に役立ちそうだと感じたのは、どの機能でしょうか?

 最初にいいな思ったのは、Wi-Fi経由ですべてのOSのデータが即時に反映できることです。先ほども説明した通り、私の授業ではクラウドにいったん生徒がアップロードして、私がパソコン上で操作して画面に映すという2つの段階を通っていました。

 「EW800ST」であれば、生徒のスマホを使う前提ではありますが、プロジェクターと接続してすぐに発表することができます。これまでのように、先生を経由しなくてもいいのは大きなメリットだと思います。

 これまで、生徒からも「ワイヤレスでできないですか」と要望がありました。「僕たちが持っているスマホの内容をプロジェクターに映せば、先生の手間がなくなりますよ」と提案してくれることもあって、生徒のほうがワイヤレスをはじめとしたICTの効果的な使い方を知っているのかもしれません。

――高校生は当たり前のようにスマホを使いこなしていますよね。

 たとえば、AirDrop(注:macOSやiOSの機能で、端末同士で簡単にデータをやり取りできる)は生徒に教わりました(笑)。この「EW800ST」もAirDropに対応しているので、生徒のほうが使いこなせるかもしれませんね。

 それから、「EW800ST」は近距離でも映る点がいいですね。

 授業で活用するアイデアとして考えられるのは、ポスターセッションのように使うイメージです。グループ学習でこのプロジェクターが数台あれば、各班でそれぞれ教室の壁に映すことが可能になります。より臨機応変に、精度の高い発表ができるかもしれない。面白い使い方ができるのではと思いました。

近距離でも鮮明に投影できるため、教室内で複数台を使う活用法も考えられる。
近距離でも鮮明に投影できるため、教室内で複数台を使う活用法も考えられる。

――より情報を活用する力も向上しそうですね。

 はい、その可能性は感じます。でも、全クラスにプロジェクターを数台ずつ用意するのは予算的に難しいので、数台を共有する使い方も良いのではないかと考えます。

持ち運びできる「EW800ST」ならではの部活動での活用

――まだ全教室に整備されていない学校や、吊り下げ式の設置が難しい教室であれば、「EW800ST」のようなコンパクトなプロジェクターが活躍しそうです。また、パソコンがない環境でもUSBメモリーからファイルを読み込めるので、教室以外のシーンでも活用できるのではと思います。

 コンパクトなタイプは、授業外の部活動でも活躍しそうです。私は運動部の顧問でしたが、試合を撮影した映像をみんなで見ることがありました。作戦を立てたりフォームを直したりするシーンで、体育館など、どこにでも持ち運べるプロジェクターのニーズはあると思います。

 自分のパソコンを持っている高校生はまだ少なく、99%はスマホを所有しています。「EW800ST」のようなOSを問わずワイヤレスで使えるものであれば、部活動でも生徒がすぐに利用できるので、非常に便利だと感じます。

Wi-Fi経由で端末のデータを映すことも、USBメモリー内のデータを映すこともできる。シーンに合わせて柔軟に活用できそうだ。
Wi-Fi経由で端末のデータを映すことも、USBメモリー内のデータを映すこともできる。
シーンに合わせて柔軟に活用できそうだ。

――ありがとうございました。

  • 編集部より:「EW800ST」の使用感については浅見さん個人の感想です。

おわりに

 「with コロナ」とも言われる現在、オンライン授業などの導入により、学びの形が変わりつつある。学校や教室がICTが浸透した未来に向けて変化するように、プロジェクターも授業や学びのスタイルに合わせて柔軟に対応できるものが求められている。

 BenQの「EW800ST」は、多様なOSに対応しているため、学校の決まった端末だけでなく、今後予想されるBYODの流れにも柔軟に対応することが可能だ。またわずか85センチの距離で80インチの大画面を投影できるため、生徒も見やすく、教員も場所を問わず使うことができる。

 さらに、BenQの専用ソフト「X-Signブロードキャスト」を使えば、現在投影しているコンテンツの上に、メッセージなどをパソコンやスマホから送って表示することが可能だ。たとえば、プレゼンテーション中に「あと10分です」といった状況に応じたメッセージをリアルタイムで表示できるため、授業や部活動などでも大いに活用することができそうだ。

 画質や明るさも、モニターやプロジェクター製品を手掛けているBenQの最新モデルとあって、見やすいと好評で信頼性も高い。

 教室の工事が難しい、あるいは体育館をはじめさまざまなシーンで活用したいと考えているならば、まさにおすすめのプロジェクターだ。

【教育機関向け】高解像度&高輝度の短焦点スマートプロジェクター「EW800ST」

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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