レゴ エデュケーションは、プログラミング教育に関する取り組み状況や課題について、国内の教育関係者を対象に、「プログラミング教育に関する調査」を実施し、結果を発表した。
「プログラミング教育に関する調査」は、8月7日と9日に東京と大阪で開催された「レゴ エデュケーション カンファレンス2019」へ出席した小学校から大学までの教員、および教育委員会の職員を対象に実施された。400名を超えるカンファレンスの出席者のうち、半数以上の286名から回答を得ている。
調査の結果、約8割が学校でプログラミング教育の導入や準備を始めており、約3割がプログラミング教育における狙いを授業で実践するために、十分な学習教材や体験型授業の実施が必要であると考えていることが分かった。
プログラミング教育について、約8割の小学校教員が導入に対応、約9割の生徒が前向き
プログラミング教育の導入について、2020年度からプログラミング教育が必修化となる小学校の教員に限定すると、37%が「既にプログラミング教育に取り組んでいる」、42%が「導入準備に取り掛かっている」と回答していることから、新学習指導要領の実施に向けた準備を進めている様子が伺える。「まだ準備が進んでいない」と回答したのは、全体で14%(小学校で15%)だった。また、プログラミング教育について、生徒の89%が「楽しみにしている」「興味を示している」といった前向きな反応を示している。
教員は子どもの「学ぶ楽しさ」を重視し、「論理的思考」を身に付けることに期待
プログラミング教育で力を入れたい点では、「楽しく取り組めること」(75%)、「論理的な思考や客観的な思考を養うこと」(72%)、「試行錯誤と成功体験を味わわせること」(70%)が上位3項目となった。「実用的なプログラミングの能力を育てること」という回答は18%に止まった。
さらに、授業を通して生徒に身に付けてほしいこと(期待する変化)としては、「論理的な考え方」(62%)、「積極的に物事に取り組む姿勢」(57%)、「失敗を恐れずにチャレンジすること」(57%)が挙がっている。
回答結果からは、教育関係者が子どもたちが楽しく取り組める授業を理想としつつ、学習指導要領の目的に沿った実践を意図していることが伺える。
必要なのは「学習教材」と「体験型の授業」
上記の目的を達成するために最も必要なものとしては、「十分な学習教材」が最多(33%)、次いで「体験型の授業」(30%)、「十分な授業時間」(14%)が続く。困っていることとしては、「予算」(62%)、「IT環境」(56%)、「授業時間」(54%)の不足といった回答が半数以上だった。また、「情報」(34%)と「教員数」(30%)が不足しているとの回答も3割に上ったことから、教育現場における理想と実践には一定程度のギャップがあるとされている。
なお、本調査結果は、米国の調査機関であるハリス・ポールが4月に発表したグローバルでの学習自信度調査で、約9割の教師が「体験型の授業が重要」と考えているものの、「授業時間の不足や、カリキュラムの制限、リソース不足、予算不足が問題である」と回答した結果と類似しており、現場の教員が抱える問題は世界共通のものであることが分かった。
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