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大学の必修授業でオンライン英会話!? 「外国人と1対1で英語で話す」体験から得られるものとは

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2019/06/26 07:00

 英語教育の効果的な手法として注目を集める「オンライン英会話」。英語を学ぶ社会人などにはかなり浸透しつつあるものの、学校教育の現場においては、未だ導入も活用もできていないところが少なくない。そうした中で東洋英和女学院大学ではいち早く2016年の試験導入、2017年の実証実験に取り組み、いよいよ2019年度からは国際社会学部全体にオンライン英会話授業を本格導入することになった。はたして学生の反応はどうか、どのような効果が得られたのか。5月に行われたオンライン英会話授業の様子をレポートする。

国際コミュニケーション学科の65名が必修講義として受講

 オンライン英会話授業の取材に伺ったのは、5月にしては珍しい大雨の日。しかし、必修講義となっていることもあり、時間前にはほぼ全員が着席して時間どおりに授業が開始された。授業に出席したのは国際コミュニケーション学科に在籍の65名。最新の専用教室の工事が間に合わず、しばらくは通常の教室にパソコンを並べた形での授業になるという。

 授業を運営するのは、オンライン英会話の導入を牽引してきた竹下裕子教授。まずはウォーミングアップとして、2人1組となって「今日の天気」について30秒ずつ英語で話すことから始まった。

生徒の会話の様子を見て声をかける竹下裕子教授
生徒の会話の様子を見て声をかける竹下裕子教授

 国際コミュニケーション学を専攻する学生たちだけあって、ほとんど全員がスムーズにペアを作り、会話をスタートさせたが、なかなか口が動かない学生や雑談が終わらず集中できない学生もちらほら見受けられた。しかし、ペアで絵を見ながら状況を1分間相手に説明したり、3枚の絵から想像した物語を話したりするうちに会話に熱中し、徐々に声が大きくなっていく。気のおけないクラスメイト同士ということもあって、言いよどんだり間違えたりしながらも、時折笑顔が出てリラックスしていることが伺える。

 「絵を見ながら物語を作り、2分間英語を使って説明するというスキルは、英語検定でいえば2級に相当します。ウォーミングアップ1分間ではありますが、ほぼすべての学生がクリアできているように思います。受験を経て高校卒業レベルの英語力は保てていることが望ましいですね。今回は行っていませんが、ウォーミングアップ時の会話を音声で録音し、スキルチェックに活用することも行っています」(竹下教授)

 ここまで授業がスタートして10分ほど。ウォーミングアップのかいあって、ようやく学生たちの口が英語に慣れてきたようだ。そして、いよいよ外国人講師とオンラインでつながり、1対1のレッスンを受ける時間となる。

一人ひとり異なるカリキュラムを自律的に学習

 レッスンの時間が来ると竹下教授の指示を待つまでもなく、学生たちはそれぞれシステムを立ち上げ、ヘッドセットを装着し、オンライン英会話をスタートさせた。始まってすぐに一気に賑やかになり、それぞれが画面にいる外国人講師との会話に集中し始めた。

 教室は声でいっぱいになったが、ヘッドセットのおかげもあって、講師との会話に支障はないようだ。にこやかに会話している学生もいるが、多くは講師の説明を聞き逃さないよう真剣そのもの。扱うテキストや内容は同じものだが、進捗は学生によって異なり、どんどん進む学生もいれば、後戻りして復習する学生もいる。

 「一人ひとりのスキルに合わせたアダプティブラーニングとしており、それぞれの学生の進捗情報はデータベース上に共有されています。なので、毎回講師は変わりますが、それぞれの学生の進捗を把握した上でレッスンが行われています。基本的に講師にはカリキュラムに集中してもらい、雑談はしないようにしているのですが、中にはリラックスさせるためにちょっとした話題をはさんでくれる講師もいるようです。そこまで含めて学生の様子やレベルに合わせてくれ、厳しくも丁寧で、さすがに英語を教えるエキスパート資格をもった方々だなと感じます」(竹下教授)

 オンライン英会話の提供事業者は、フィリピンのセブ島に英会話学校をもつQQ English。竹下教授がありとあらゆるオンライン英会話サービスを実際にチェックして選定したという。決め手となったのは、講師の教授スキルと接遇のレベルの高さ、そしてネットワークインフラの品質だ。

 「オンライン英会話の中には、主婦や学生がアルバイト感覚でやっていたり、女性がセクシーな服装でやっていたりするものもあります。そこでサービス選定にあたっては、講師がしっかりと外国人に英語を教える技能を修得していること、制服を身に着け、プロフェッショナルとしての気概をもって取り組んでいることを重視しました。また約70人が同時アクセスするので、ネットワークインフラがしっかり整っていることも必須でした。QQ Englishの場合、環境の整った校舎があり、そこに講師が出勤する形なので、その点においても安心感がありました」(竹下教授)

 それでも時々は、画面がフリーズしたり、音声が聞こえなくなったりすることもある。そんなときに備えて、システムを導入した内田洋行からスタッフが1名派遣されており、トラブル対応を行っている。今回も2~3回ほどトラブルがあったがリフレッシュボタンを押せば解決する軽微なものだった。システムが安定してきたら、今後は講師だけで十分対応できるようになることが望まれる。

音声のトラブルが起きた際、竹下教授がオンラインの講師とやり取りしていた
音声のトラブルが起きた際、竹下教授がオンラインの講師とやり取りし対応していた

 「普通の教室ということもあってか、あるいは学生が1年生で大学のシステムに慣れていないこともあって、特に最初の頃はログインのトラブルも多く、ICTサポートの担当者がいてくださったことで本当に助かりました。専用の教室は2020年春に着工の予定となっていますが、環境的にも安定することを期待しています。さらに完成したら私の方でもリアルタイムですべての学生の進捗管理ができるようになるので、レッスン直後のアドバイスや宿題など細やかな対応ができるようになると思います」(竹下教授)


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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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