ベネッセ教育総合研究所は、東京大学社会科学研究所と共同で実施してきた、同じ親子を12年間追跡する「親子パネル調査」から、成績が上昇した高校生は内発的な学習意欲や将来の目標を持っている(持つようになった)ことに加えて、自身の学習を客観的にとらえる「メタ認知」を持っている(持つようになった)ことを、3月28日に発表した。
「親子パネル調査」では、小学1年生~高校3年生までの親子約2万1000組を対象に、毎年の調査によって追跡し、子どもの成長のプロセスや成長に必要な環境や働きかけを明らかにしている。
同調査によれば、高2~高3の成績変化が「ずっと上位」「上昇」の子どもは、「テストで間違えた問題をやり直す」「何がわかっていないか確かめながら勉強する」といった勉強方法(メタ認知的方略)を活用している比率が高くなっていることがわかった。また、成績が「上昇」した子どもは、これらの勉強方法を活用するようになった比率が高くなっている。
これらの結果から、自身の学習を客観的にとらえながら学習すること(メタ認知)が効果的だと考えられる。ただし、成績が低下した子どもや、ずっと下位の子どもの中にも、これらの勉強方法を活用している子どもがいるため、活用の仕方も重要であると思われる。
成績が「ずっと上位」「上昇」の子どもは、「新しいことを知るのがうれしいから」勉強している比率が高く、とりわけ「上昇」の子どもはそのように変化した比率が高くなっている。一方、成績が「低下」した子どもは「先生や親にしかられたくないから」勉強する比率が高いことがわかっており、これらの結果から成績の維持や上昇には、学習に好奇心や関心を持って学習することが効果的であると考えられる。
成績が「上昇」の子どもは、「自分の希望する大学に進みたいから」勉強している比率が高くなっている。また、成績が「ずっと上位」「上昇」の子どもは、将来の目標が「ずっと不明確」の比率が低く、「将来の目標がはっきりしている」比率が高くなっており、これらの結果から成績の維持や上昇には、将来への志向や目標を持って学習することが効果的だと考えられる。
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