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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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プログラミング教材担当者インタビュー

ユーザー視点もエンジニア視点も重要――プログラミング学習用ロボット「embot」開発インタビュー


 プログラミング学習用のロボット「embot(エムボット)」が、2018年9月に正式に発売された。embotは子どもがプログラミングを学ぶためのロボットで、簡単な組み立て工程と、非常に直感的かつ論理的なアプリでプログラミングできるのが特徴だ。プロジェクトを率いる株式会社NTTドコモ イノベーション統括部の額田一利さんに、embot開発への思いや製品版に至るまでの道のりについてお話を聞いた。

株式会社NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 額田一利さん
株式会社NTTドコモ イノベーション統括部 事業創出・投資担当 額田一利さん

はじまりはプライベートな趣味プロジェクトだった

 「embot」のはじまりは、2014年の夏に額田さんが仲間と3人ではじめたプライベートプロジェクトだ。

 「秋葉原でパーツを探して回路設計をするところからやっていました。現在のロボット本体はダンボール製ですが、3Dプリンターやアクリル板で作ったプロトタイプもありましたね。レーザーカッターで材料を切り出すこともやって、すべて手作りでした」

ダンボール製ロボットのembot
ダンボール製ロボットのembot

 当初は教育用途のビジョンはなく、オリジナルのロボットプラットフォームを作る過程で、コンセプトがプログラミング学習に定まっていく。ワークショップを開くといったことをしているうちに評判が高まり、2年ほど前に額田さんの勤務先であるNTTドコモ内でプロジェクト化されることとなる。そして、開発スピードも加速した。

先行体験版から製品版への道のり――現場の声で改善を繰り返す

 昨年(2017年)7月に先行体験版の販売を開始して以降、現場の声を開発に生かしてさらにブラッシュアップを続けることになる。この間に全国で50回以上の子ども向けワークショップを実施し、先生向けワークショップも今年の夏だけで11回行った。

 ワークショップでは先生に十分にヒアリングするのはもちろん、子どもたちの反応を直接見ることにもこだわっている。

 「子どもに感想を聞いても『楽しかった』といった、良い答えしか返ってきません。実際に取り組んでいる様子をひたすら観察して、『どの作業で苦労しているか』『どんな表情をしているか』など、たくさんのヒントをもらいました」

 額田さんはプロジェクトメンバー全員に、必ず一度はワークショップに行くよう呼びかけ、メンバーは開発や営業といった担当に関わらず現場に足を運んだという。

 「作り手が『売る感覚』を持っていなければいけないし、売り手が『作る感覚』を持っていなければいけないと考えています」

 プロジェクトメンバーの視点を広げ、役割の垣根をなるべく低くしたいというチーム作りの工夫がここにあるようだ。

 では、具体的にどんな声が生かされ製品版につながったのだろうか。

ハード面の工夫――扱いやすさを重視

 先行体験版では、例えばLEDが芯から抜けやすかったり、基板の入ったケースと電池ボックスが分離していたり、扱いづらいポイントがいくつか見えてきた。そこで、LEDを安定する設計にし、基板と電池ボックスを一体化させボックス型にするなどして、一つひとつ解決していった。

かわいらしいembotの核となるボックス。基板も電池もここに内蔵されている。
かわいらしいembotの核となるボックス。基板も電池もここに内蔵されている。

 「パーツの接続に戸惑ってプログラミングの敷居が上がるのは避けたいし、そうした電子工作部分は私たちが訴求したいポイントではないと判断しました。不要な障壁は極力減らして、すぐにプログラミングの主題に入れることにこだわっています」

 では、いっそロボット本体もダンボールで作るのではなく、完成形で提供することも考えたのだろうか?

 「この工程は必要だと考え、あえて用意しています。『プログラミングを学ぼう』と思って学ぶのではなく、何か『こういうものを作りたい』という気持ちがあって、そのアプローチとしてプログラミングをすることを伝えたいんです。ダンボールでロボットを作るプロセスがあるほうが、その感覚に近づきやすいと考えています」

 素材を扱いやすいダンボールにしたのも、作ることを身近に感じてほしいからだ。現場の声を聞きながら、製品としてのポリシーをより明確にしていったことがわかる。

次のページ
ソフト面の工夫(1)――フローチャートとブロック型の2層構造

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この記事の著者

狩野 さやか(カノウ サヤカ)

 株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブサイトやアプリのデザイン・制作、技術書籍の執筆に携わる。自社で「知りたい!プログラミングツール図鑑」「ICT toolbox」を運営し、子ども向けプログラミングやICT教育について情報発信している。著書に『見た目にこだわる Jimdo入門』(...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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