ジョイズは、同社が提供するAI英語学習クラウド「TerraTalk」(以下、テラトーク)において、生成AIを活用した英会話学習機能をリニューアルしたことを、10月17日に発表した。

同社によると、学校教育における英会話学習の最大の課題は、Authenticity(本物らしさ)とPedagocial Scope(学習範囲)の両立にあるという。多くの場合、ただ英語話者との会話機会を設けるだけでは、生徒の英語力の実情や単元の学習目的に合わず、学習効果が得られない。一方、単元の学習項目を正確になぞっていくだけでは、硬直化した、台本の読み上げのような学習になってしまう。
ジョイズでは、この課題を解決するため、2016年の初回リリース以来、テラトークの対話機能の改善を続けてきた。過去数年の生成AIの急速な進化により、対話品質の向上だけではなく、学習の要となるインターフェースをゼロから再構成することが必要と判断し、会話学習機能の全面的なリニューアルを行った。
テラトークは、文部科学省が実施する「令和6年度 小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業(AIの活用による英語教育強化事業)」(以下、文科省事業)において、複数の地方自治体において採用されている。今回のリニューアルでは、文科省事業の採択自治体のみならず、すべての既存ユーザーを含めて同機能の提供を開始している。
同機能の開発においては、GIGAスクール構想のローンチからのべ198の教育委員会(2025年10月17日時点)およびその学校と協創した、テラトークを用いた授業・運用ノウハウを活用してきた。
特に義務教育の学校現場では、民間の英会話スクールや多くの私学と異なり、学びに向かう力や、得意な学び方のばらつきが大きいクラスをまとめ上げて授業をしていかなければならない。また、現場の教員の授業方式については、学習指導要領や検定教科書の枠組みはあるものの、私教育に比べて非常に大きな裁量があることも特徴である。ICT支援員や、ALT、小学校配置の専科教員など、さまざまな関係者が入り込みやすいシンプルさと、教務面での拡張性の両立を目指して開発した。
同機能のリニューアル時点での特徴は、次のとおり。
- 多様なプロフィール(人格)をもつキャラクターと、場面別の会話
- 生成AIによる、本物らしく、ユーザーの発言を理解した対話
- 話せない環境での学習や、じっくり作文を行うための文章対話インターフェース
- ユーザーの英語力に合わせた対話を行う対話制御
- 対話を行うAIと並行して対話品質をモニタリングするモデレーターAI
- ユーザー・AIキャラクター双方の不適切発言を検知するパトロールAI
- 会話終了後、ユーザーに助言を行うコーチングAI


テラトークは、生成AIの教育現場、特に児童生徒による利用に向けた各種ガイドラインや、生成AIの基幹モデル開発各社の利用規約に基づき、技術・法務の両面で教育現場の安心・安全が守られるよう設計されている。また、教員の働き方改革が教育行政の大きなテーマとなる中、低負担で授業に導入できる製品とするため、学習指導要領や「Can-Doリスト」を基盤に同社で設計した会話シーンを約30本(2025年10月17日時点)プレインストールしている。
さらに、働き方改革と授業の質的改善、特に英語学習におけるアウトプットの総量を効果的に増やすため、次の開発ロードマップを設定している。
- 検定教科書の単元を指定し、その単元の「定着」「応用」それぞれを目的にした会話を行う機能(教科書準拠ライセンスの契約者のみ)
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ユーザー・教員がオリジナルの対話教材を作成・利用する機能
- 総合の時間や、地元密着型の教材作成向け
- 上記のオリジナル教材を学校・自治体内で共有し、共通資産として活用する機能
参考価格は、ユーザー1人あたり200円/月(税別)となり、最低契約期間は1日から。なお、実際の最終価格は、学校数、利用コンテンツ、サポートプラン、販売店などによって異なる。
また、テラトークは、学校・教育委員会を対象に最大2カ月間無償で提供している。AIとの会話練習や発音評価を、児童生徒や教員が試すことができる。
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