全国子どもアドボカシー協議会は、大分大学権利擁護教育研究センター協力のもと、全国における児童相談所設置自治体79(47都道府県、32市区町村)の自治体を対象に実施した、「子どもの意見表明等支援(子どもアドボカシー)事業」に関するアンケート調査の結果を1月6日に発表した。同調査は、2024年10月2日〜11月15日の期間に行われ、61自治体から回答を得ている。
調査対象となる自治体に、「子どもの意見表明等支援事業」の実施状況を尋ねたところ、「実施している」と答えた自治体は77.0%に達した。
「子どもの意見表明等支援事業」の実施主体を尋ねた質問では、「児童相談所設置自治体から民間団体への委託等」がもっとも多い。
意見表明等支援員の人数を階級別でみると、「1〜10人」(52.6%)が最多となり、「11〜20人」(15.8%)、「21〜30人」と「31〜40人」(どちらも10.5%)がそれに続いた。40人以下が89.4%と、多くの団体が少数の支援員で活動していることが明らかになっている。また、所属する意見表明等支援員の性別は、女性が80.5%を占めており、年代別では50代以上が48.8%でもっとも多かった。
意見表明等支援員の活動場所としては、「一時保護所」(91.3%)が最多となり、「児童養護施設」(71.7%)と合わせて実施団体の主要な活動場所となっている。活動頻度は団体によって異なり、毎週から年1回までかなり幅がある。
活動の課題を尋ねたところ、「意見表明等支援員の確保」(51.0%)がもっとも多く、「予算関連」(46.9%)、「児童相談所、児童養護施設、里親等との協力促進・関係調整」(44.9%)がそれに続いた。個別の課題としては、「離島派遣時の航空機・宿泊手配による予算への影響」「施設や意見表明等支援員などでの事業に対する温度差」といった回答が寄せられている。
事前研修(養成研修:基礎講座、養成講座など)と活動後研修(講義、定例会、SV会議など)の実施状況について尋ねた質問では、「事前研修と活動後研修を団体で実施している」(50.0%)が最多となった。一方で、「研修実施の目途が立っていない」(19.2%)との回答もみられ、研修体制の確立が課題となっていることがうかがえる。
意見表明等支援員の報酬は、「支給している」が95.2%を占めた。なお、報酬額は団体ごとに異なっているものの、弁護士への報酬額はそれ以外と比較して高額となっている。
「子どもの意見表明等支援事業」を実施している自治体、および実施準備中の自治体では、子どもの意見表明を審議する権利擁護部会を設置しているところは82.5%を占めた。一方で、意見表明等支援活動の運営体制となる、SV(スーパーバイザー)、トレーナー(養成プログラムの企画・提案などを行う人)、コーディネーター(アドボケイト派遣や、意見表明に関して、子ども・関係機関・アドボケイトの調整を行う人)の配置状況を尋ねたところ、「コーディネーターを配置している」(44.7%)がもっとも多く、「SVを配置している」(40.4%)がそれに続いており、少数ながら「トレーナーを配置している」(12.8%)という回答もみられる。
そのほか、SV、トレーナー、コーディネーターを設置している場合、担当者への研修は「実施していない」(39.0%)が最多となっている。
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