Institution for a Global Society(以下、IGS)は、文部科学省の「令和6年度 次世代の学校・教育現場を見据えた先端技術・教育データの利活用推進(最先端技術及び教育データ利活用に関する実証事業)」に採択され、生成AIを活用した探究指導モデルの開発を進めている。本年10月から宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校で実証授業を開始し、生徒の学びや教員の働き方改革に向けた取り組みを開始したことを、12月4日に発表した。同実証事業では、生徒の非認知能力や数理科学的スキルのデータをもとに、教員の負担軽減と生徒一人ひとりに合わせた探究活動の実現を目指す。
IGSは、同社が提供する非認知能力測定ツール「Ai GROW(アイ・グロー)」や数理科学的なスキルを測定する「数理探究アセスメント」で得られるデータを活用し、生成AIがクラスや学年単位での「総合的な学習(探究)の時間」をはじめとする探究学習の指導案を自動生成する新しいモデルを開発している。この取り組みは、以下の教育現場の課題解決を目的としている。
- 集団に最適化された探究学習の実現:アセスメントでクラスや学年ごとの強みや課題を具体的に把握し、生成AIを活用してクラス全体に適した指導案を作成する。これにより生徒全員が一体となって取り組める質の高い探究活動を提供し、クラスの協働学習を深め、効果的に次の学びへ進められる。
- 個々に応じたフィードバックで成長を後押し:生徒が提出するレポートやアセスメントデータをもとに、生成AIが生徒一人ひとりの興味やペース、難易度に応じたフィードバックレポートを作成する。これにより生徒それぞれが抱える課題に寄り添い、成長に向けた具体的なアドバイスを届けられる。
- 教員の負担を軽減し、働き方改革をサポート:生徒の能力を可視化するアセスメントと生成AIによる授業設計や個別フィードバックの提案を通じて、教員が探究以外の業務と両立しながら生徒と向き合う時間を確保できる。業務負担を減らしつつ、教育の質をさらに高める働き方を実現する。
- 安全で効果的な教育データの利活用を実現:収集した教育データを匿名化し、個人情報保護に配慮した形で生成AIを活用する。OpenAIの機械学習にデータが使用されないよう管理することで、安心してデータを授業設計や評価に生かせる。これにより、これまで十分に活用されていなかった教育データを授業設計や評価の改善に最大限に活用する環境を構築する。
宝仙学園順天堂大学系属理数インター中学校・高等学校では、10月~11月に中学1年生の7クラスを対象にした実証授業を実施した。この授業では、生成AIが「Ai GROW」のデータをもとに作成した指導案を活用。新たな視点からの授業設計やアプローチが導入され、生徒の積極性向上や教員の準備時間削減といった成果が報告されている。
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