やっぱり子どもたちにも生成AIを使わせたい
現在のガイドラインでは、小学生に直接生成AIを操作させることにはさまざまな制約があります。「ChatGPT」や「Gemini」をそのまま使わせることはできません。しかし、コニカミノルタの「tomoLinks」上で動く生成AI「チャッともシンク」や、みんなのコードが提供する「みんなで生成AIコース」を使うと、保護者の承諾を得た上で子どもたちに直接生成AIを操作させることができます。
思考の壁打ち的活用
総合的な学習の時間で、地域の縄文遺跡(世界遺産)についての紹介動画を作成する際に生成AIを活用しました。最初に子どもたちには以下のプロンプトを提示しました。
あなたは超一流の映画監督です。私が縄文遺跡のPR動画のシナリオを作成するための相談にのってください。私からの質問に簡潔に答えてください。最高の動画になるように適切なアドバイスをしてください。私は小学生なので難しい言葉は使わないでください。
子どもたちは、このプロンプトを使って生成AIとのやり取りを始めます。シナリオのイメージがある程度できている子は、そのシナリオを貼り付けて生成AIからアドバイスをもらいます。あまりイメージを持てずに途方に暮れている子は、それをそのまま生成AIに伝えて、イメージを引き出してもらいます。それぞれの実態に合わせてそれぞれのペースで活動が進みます。黙々と生成AIとやり取りしている子もいれば、相談しながら生成AIに入力するプロンプトを考えているグループもいます。早々にシナリオが固まって生成AIから離れて制作に移る子もいます。
生成AIを使わずに、同じような授業を担任1人で回すのは無理ではありませんが、子どもたちの待ち時間が長くなります。生成AIを使うことで、子どもたち一人ひとりにサポーターが寄り添っているような状態になります。子どもたちが生成AIを相手に思考の壁打ちをしている間、教師は活動を見て回り、本当に困っている子に寄り添って支援、指導することができます。
また、図画工作の時間には、早く作品を完成させた児童を対象に、画像生成AIを使って見たものを言葉で描写する活動を行いました。「Canva」の画像生成AI「マジック生成」や「Padlet」の画像生成AI「描くのを助けて(旧:描画エラー)」を使い、自分の作品に近い画像を生成するというものです。
自分の絵をに近づけるために、子どもたちは作品を細かいところまで観察し、それを言葉にして画像生成AIに作画させます。なかなか思い通りの画像にはならないので、子どもたちは言葉を付け足して何度も思考の壁打ちを繰り返します。結果的に作品と似ている画像はそれほど生成できませんでしたが、自分の作品について事細かに説明できるようになりました。鑑賞の場面で同じ活動をさせたところ、以前よりも詳細に作品を見るようになりました。