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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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子どもも教師もワクワク! デジタルツールで生まれる令和の学び

教育での生成AI活用は生成してからがスタート! 授業で子どもが使える実践も紹介

子どもも教師もワクワク! デジタルツールで生まれる令和の学び 第16回

「Gemini API」が授業の振り返りをサポート

 子どもたちに直接生成AIを操作させずに、限定的に生成AIの効果を授業に取り入れたい場合は生成AIのAPIを使う方法があります。Google for Educationの導入校であれば、管理コンソールでGeminiのAPIの使用を許可することで、無料で生成AIの機能を使うことが可能です。「Googleフォーム」や「Googleスプレッドシート」とAPIを組み合わせることで、子どもたちが直接生成AIを操作しなくても生成AIの効果の一部を活用できます。

 Gemini APIの利用には、まずAPIキーを取得する必要があります。取得方法については前回の記事を参照してください。

 なおGemini APIの利用時に、Geminiのサーバー混雑やメンテナンスによって、反応が遅くなったり、エラーメッセージが表示されたりします。そのような場合は、時間を変えて試してみてください。

生成AIが振り返りへのレスポンスをメールしてくれるフォーム

 APIキーを取得したら、まずは子どもたちの振り返りに対して、生成AIが返事をしてくれるGoogleフォームを作ってみましょう。

 まずは以下のリンクから、フォームに振り返りを入力して送信してください。振り返りの内容に対応したレスポンスが生成AIから返信されます。

 なおこの際、メールアドレスが収集されるのでご注意ください。収集したメールアドレスはGemini APIの返信のために使用され、それ以外の目的には使用されません。データは定期的に削除されます。無料のAPIを使用しているためアクセスが集中するとエラーが発生するので、しばらく時間をおいてから再度お試しください。

 このフォームを使うと、子どもたちが送信した振り返りに対してGemini APIが返事を生成してメールを送信します。

 教師がレスポンスせずにAIにレスポンスさせることには否定的な意見も聞かれます。GIGAスクール構想以降、多くの学校でフォームを使った振り返りが行われるようになりました。しかし、すべての振り返りに教師がレスポンスすることはかなり難しいのが現状です。

 ChatGPTにフェルミ推定させたところ、日本全国で3億以上の振り返りが放置されていると推定されました。これは大げさな数値かもしれませんが、かなりの数の振り返りが記入させただけで放置されていることは確実です。子どもが振り返りを送信した直後に、AIが一時的にレスポンスをすることは、放置するよりも意味があります。まずは、自分で使って試してみましょう。

放置されている振り返りの数をフェルミ推定
放置されている振り返りの数をフェルミ推定

 では、実際にフォームを作ってみましょう。まずは以下のリンクをクリックして、GASとフォーム付きのGoogleスプレッドシートをコピーします(コピーには少し時間がかかるかもしれません)。

 スプレッドシートを開いたら上メニューバーの「拡張機能」をクリックして「Apps Script」をクリックします。左サイドバーの歯車アイコン(プロジェクトの設定)をクリックして下にスクロールし、「スクリプト プロパティを追加」をクリック、プロパティに「geminiapikey」、値に取得したAPIキーを入力してから「スクリプト プロパティを保存」をクリックします。

 左サイドバーで「トリガー」をクリックして右下の「+トリガーを追加」をクリック、実行する関数を「onFormSubmit」、イベントの種類を「フォーム送信時」に設定して「保存」をクリックします。

スプレッドシートのコピー~Apps Scriptの設定手順
スプレッドシートのコピー~Apps Scriptの設定手順

 この際、画面下にスクリプトの承認に失敗したことが表示されたら、アドレスバーの右にあるポップアップブロッカーをクリックしてポップアップを許可してから、もう一度保存をクリックします。Googleアカウント選択画面で自分のアカウントをクリックして「Allow(許可)」をクリックします。

 場合によっては下図のような警告が表示されるので、図を参考にしながらスクリプトの使用を許可してください。

警告が表示された場合の対応方法 警告が表示された場合の対応方法
警告が表示された場合の対応方法

 スプレッドシートに戻り、メニューバーの「ツール」をクリックして「フォームを管理」→「実際のフォームを開く」をクリックします。

 フォームが開いたら、メールアドレスにチェックを入れて、名前と振り返りを入力して送信します。すると、設定したメールアドレスにレスポンスメールが届くので、開いて確認してみましょう。

フォームに入力し、メールが届くか確認
フォームに入力し、メールが届くか確認

 返事の文字数や文体はスプレッドシートの「プロンプト」シートのA1セルの内容を編集することで変更できます。自分好みの返事ができるように、いろいろと試してみましょう。

生成AIが振り返りへのレスポンスを表示してくれるスプレッドシート

 非常に残念なことに、いまだに子どもたちがメールを使用できない設定になっている学校もあります。そのような学校では紹介したAIコメントフォームは使えません。その場合は、子どもたちの振り返りに子どもたちが入力した振り返りに生成AIがレスポンスを返してくれるスプレッドシートを使いましょう。

 以下のリンクをクリックしてGAS付きのGoogleスプレッドシートをコピーします。

 スプレッドシートを開いたら上メニューバーの「拡張機能」をクリックし、「Apps Script」をクリックします。左サイドバーの歯車アイコン(プロジェクトの設定)をクリックして下にスクロールし、「スクリプトプロパティを追加」をクリック、プロパティに「GEMINI_API_KEY」、値に取得したAPIキーを入力してから「スクリプト プロパティを保存」をクリックします。

 スプレッドシートに戻り、振り返りシートを開きA1セルの内容を変更すると、B1セルにGeminiがレスポンスを返してくれます。AIコメントフォームと同じようにプロンプトシートのA1セルの内容を変更することで、返事の内容を調整できます。

スプレッドシートに振り返りが出力される
スプレッドシートに振り返りが出力される

 このレスポンス機能は、「=aicomment()」という関数で使えるようにしています。()の中に、振り返りを記入したセルを指定すると、レスポンスを返してくれます。通常の関数と同じようにドラッグしてまとめてコピーできるので、実際の使用場面を考慮して振り返りシートを作ってください。シートが整ったら編集可能な状態に設定して共有リンクを発行し、子どもたちに開かせて振り返りを書かせましょう。

 ちなみに、このaicomment関数は、ほかのシートにコピーしても動かないので注意が必要です。

次のページ
子どもたちの考えを1つにまとめた文を提案してくれるGoogleスライド

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この記事の著者

前多 昌顕(マエタ マサアキ)

 五所川原市立五所川原小学校教諭、青森県プログラミング教育研究会発起人で事務局長。初任の頃よりICTの教育活用に興味を持ち研究を進める。いったんICT教育と距離を取り、研究対象を思考ツールにしたが、プログラミング教育必修化をきっかけに再開する。マイクロソフト認定教育イノベーターエキスパート2018-...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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